ミャンマー地震、軍事政権が異例の国際支援を要請 死者144人

2025/03/29 07:57 

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 ミャンマー中部を震源とするマグニチュード(M)7・7の大地震について、国軍のミンアウンフライン最高司令官は28日夜、国民向けのテレビ演説を行い、首都ネピドーや中部マンダレーなどで144人が死亡し、732人がけがをしたと明らかにした。死傷者はさらに増える見通しで、軍事政権は国際社会に異例の支援を呼びかけた。

 これまでにネピドーで96人、マンダレーで30人が死亡するなど、各地で死傷者が出た。SNS(ネット交流サービス)には複数の建物が崩れ、道路にがれきが散乱する様子などが投稿されている。震源に近いマンダレーや北部ザガイン管区の被害が深刻とされ、被害の全容は分かっていない。

 2021年2月のクーデターで実権を握った国軍は国際的な孤立を深めている。しかし、民主派などとの内戦状態が長期化して統治能力が低下しており、支援の受け入れは避けられないと判断したとみられる。

 隣国タイの首都バンコク中心部では29日も、倒壊した高層ビルの建設現場でがれきの下敷きになっている作業員らの救出作業が続いた。アヌティン副首相兼内相によると、これまでに12人が救助されたが、7人の死亡を確認。ほかに約100人が行方不明になっている。バンコクの別の建設現場でも1人が死亡した。

 ロイター通信によると、国連のグテレス事務総長は28日の記者会見で「ミャンマー当局は国際的な支援を求めており、ミャンマーの人々を支援するために連絡を取り合っている」と述べた。国連は被災地支援のため、500万ドル(約7億5000万円)の緊急支援を行うことを決めた。

 トランプ米大統領も28日、記者団に対し「深刻な被害が出ている。我々はすでにミャンマーと話をした」と述べ、支援要請があれば応じる考えを示した。

 石破茂首相はタイの地震被害について、ペートンタン首相宛にメッセージを送り、「大変心を痛めている。被害に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げる」とした。

 外務省によると、ミャンマー、タイ両国で日本人の被害は今のところ確認されていない。【バンコク武内彩】

毎日新聞

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