台湾、外交部長の元秘書ら4人を起訴 機密情報を中国側に漏えいか

2025/06/10 20:27 

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 台湾検察当局は10日、中国当局の働きかけに応じて機密情報を漏らしたとして、外交部長(外相に相当)の元秘書ら4人を国家安全法違反などの罪で起訴した。頼清徳総統が副総統時代に行った外国訪問や、初当選した2024年の総統選での選挙活動に関する日程などが中国側に渡っていたという。

 頼政権は中国によるスパイ活動に警戒を強めているが、浸透工作が政権中枢に近い人物まで広がったことに衝撃が広がっている。

 検察の発表や報道によると、起訴された呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(現・国家安全会議秘書長)の秘書や総統府総統事務弁公室顧問(いずれも当時)らは、23年8月に当時副総統だった頼氏が南米パラグアイへの公式訪問で利用するホテルや空港の詳細のほか、米国や中国の外交・貿易を分析した台湾当局の文書などを入手。ともに起訴された与党・民進党系市議の元秘書が中国側とのパイプ役となり、中国が開発した秘匿性の高いアプリを使って情報を送っていた。

 元秘書は中国でビジネスをしていた17年から中国情報機関の接触を受け、約600万台湾ドル(約2900万円)を受け取っていたという。

 検察は今年2月に強制捜査に着手し、容疑者らを次々に拘束。起訴にあたり、「国家の安全に重大な危険を与えた」などとしてそれぞれ懲役18年6カ月以上を求める意見を付けた。市議元秘書や外交部長元秘書らは起訴内容を否認しているという。【台北・林哲平】

毎日新聞

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