ダライ・ラマ14世、後継者の選定は「輪廻転生制度」を継続

2025/07/02 14:19 

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 チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世(89)は2日、インド北部ダラムサラであったチベット仏教の幹部会合で後継者の選定方法について声明を出し、輪廻(りんね)転生の考えに基づくダライ・ラマ制度を「継続する」と発表した。

 チベット仏教では伝統的に、ダライ・ラマの死後に生まれ変わりを探す「輪廻転生制度」をとり、14世も2歳の時に先代の転生者として認定された。

 ただチベットの分離独立運動を警戒する中国は、ダライ・ラマ後継者の選定に関与する意向を示しており、政治的な圧力をかけている。チベット仏教の教団内では、これをけん制する目的で、14世が生前に男女を問わずに後継者を指名することも取り沙汰されていた。

 ダライ・ラマ14世は声明で「制度の継続を強く求める多くの要望が寄せられた」と変更しない理由を述べた。一方で、「他のいかなる者もこの問題に干渉する権限はない」と中国をけん制した。

 声明について中国外務省の毛寧報道局長は2日の記者会見で、「転生は(中国の)中央政府によって承認されなければならない」と述べ、中国政府の関与が必須だとの認識を示した。

 ダライ・ラマ14世は中国政府と対立し、1959年からインドで亡命生活を送る。89年、中国からの自立を平和的手段で達成しようとしているとして、ノーベル平和賞を受賞している。【ニューデリー松本紫帆】

毎日新聞

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