インドで「世界最高齢ランナー」の男性はねられ死亡 114歳

2025/07/15 23:11 

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 100歳でフルマラソンを完走し、「ターバンを巻いたトルネード」と称されたインド系の英国人男性、ファウジャ・シンさん(114)が14日、インド北西部で交通事故に遭い、亡くなった。地元メディアなどが報じた。

 生まれ故郷のパンジャブ州の村の道路を横断中、車にはねられた。頭などを強く打ち、搬送先の病院で死亡が確認された。

 報道によると、シンさんは1911年4月生まれ。約30年前に妻を亡くし、長男と暮らすためにイギリスに移住した後、近所の公園でランニングや長距離の散歩を始めたという。

 当初はフルマラソンが42・195キロあることすら知らなかったが、89歳だった2000年に初めて出場したロンドン・マラソンを6時間54分で完走。デビュー戦ながら、同年代の世界記録を1時間近く更新し、注目を集めた。

 その後もシンさんの快進撃は続き、13年に引退するまでにロンドン、カナダのトロント、米ニューヨークのフルマラソンを計9回完走した。ターバンを巻いた姿で世界各地の大会に出場し、シーク教徒としての誇りを貫いた。

 「世界最高齢のランナー」として知られるようになり、サッカー元イングランド代表のベッカムさんらと、スポーツ用品大手アディダスの広告キャンペーンに起用された。

 晩年は息子が住むインドとロンドンを行き来する生活を送っていた。英BBCが6月にインドで取材した際には、「足を鍛えるため」として毎日数マイル歩いていると語っていた。

 シンさんの訃報に対し、インドのモディ首相はX(ツイッター)で「信じられないほど強い心を持つ素晴らしいアスリートだった。深い悲しみを覚える」と追悼の言葉を寄せた。【古川幸奈】

毎日新聞

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