米国の良心体現 レッドフォードさん、スクリーン外でもにじむ誠実さ

2025/09/18 05:40 

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 ハリウッドを代表する米国の映画俳優・監督のロバート・レッドフォードさんが16日、89歳で死去した。出演・監督作品を通じて、米国の良心を体現した世界的スターだった。

 下積み生活を経て「明日に向って撃て!」(1969年)で一躍有名になったのは、30代になってから。ポール・ニューマンさんが扮(ふん)した銀行強盗ブッチの相棒、サンダンス役で、鮮烈な印象を残した。ニューマンさんとは「スティング」(73年)でもコンビの詐欺師を演じたが、ニューマンさんのふてぶてしさとは対照的に、アウトローながら洒脱(しゃだつ)で、清潔感を漂わせていた。

 そのイメージは終生変わらない。ダスティン・ホフマンさんと新聞記者を演じた「大統領の陰謀」(76年)、「華麗なるギャツビー」(74年)の謎めいた富豪、遅咲きの野球選手に扮した「ナチュラル」(84年)。金髪碧眼(へきがん)の典型的な白人の二枚目ながらアメリカンヒーローではなく、内面の屈折や葛藤を抱えた人物を演じて代表作となった。

 初監督した「普通の人々」(80年)は米国中流家庭を静かに描き、いきなりアカデミー賞監督賞を受賞。作品賞なども獲得し、俳優としても監督としても成功を収めた最初のハリウッドスターでもある。

 以降の監督作品も、家族の確執を大自然の中に描いた「リバー・ランズ・スルー・イット」(92年)、メディアの虚構性を批判した「クイズ・ショウ」(94年)など、いずれも娯楽一辺倒ではなく深い人間洞察や社会的視点を感じさせた。

 米ユタ州に、若手映画人のためにサンダンス・インスティテュートを設立。インディペンデント映画を集めたサンダンス映画祭も主催し、人材育成にも力を尽くした。環境問題へも積極的に発言。スクリーンの中でも外でも、誠実、真面目な人柄をにじませていた。【勝田友巳】

毎日新聞

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