中国開催のAPEC、台湾は参加できるのか 突きつけられている条件

2025/11/06 09:30 

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 来年11月に中国南部・広東省深圳(しんせん)で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)への参加を巡り、開催国・中国と対立が続く台湾の頼清徳政権が懸念を強めている。中国が、台湾を自国の一部と見なす「一つの中国」原則の順守を求めているためだ。

 ロイター通信は4日、中国外務省が取材に対し、深圳のAPECで全ての当事者の参加に問題はないとしつつ、台湾の参加について「カギは『一つの中国』原則と、関連するAPECの覚書を順守することにあると強調する」と書面で回答したと報じた。

 これに対し、台湾の林佳竜外交部長(外相に相当)は5日、中国は2024年にペルー・リマで開かれたAPEC首脳会議の際に、26年のAPECについて台湾の参加と出席者の安全を文書で約束していて、「多くの条件を付けるのは約束違反だ」と主張。理念の近い国と協調して対抗していくと中国をけん制した。

 台湾は1991年に「チャイニーズ・タイペイ」の名称でAPECに加盟し、政財界の要人を代表として首脳会議に派遣してきた。中国の圧力で外交空間が狭められる中、国際的な会議に参加する貴重な機会だ。

 韓国・慶州で行われた今年の首脳会議には林信義・元行政院副院長(副首相)が参加し、高市早苗首相とも会談した。

 01年に上海で開かれたAPECでは、当時の民進党・陳水扁政権が元副総統を代表として派遣しようとしたが、「一つの中国」原則を掲げる中国に拒否され、首脳会議を欠席。閣僚級会合後の記者会見では、台湾の経済部長(経済産業相に相当)の発言が許されないなど波紋を呼んだ。【台北・林哲平】

毎日新聞

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