がれきの中に日常、市民が願うことは シリア第2の都市「解放」1年

2025/11/30 11:39 

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 にぎやかな通りを歩くと、崩れかけた無人の住宅があらわれた。観光名所の城塞(じょうさい)の前では、破壊された建物を背に住民がおしゃべりし、笑い合っている。銃弾の跡が残る壁。焼け焦げた建物。そうしたものは、この街ではあまり珍しくはない。

 内戦で激しい戦場となったシリア第2の都市・アレッポ。ここでは、今もがれきの中に日常がある。

 市内北部の旧市街。細い路地を入ると、崩れた建物が並ぶ広場に出た。完全に崩落したものもあれば、壁だけが残り、屋内はがれきの山になっているものもある。

 「この辺りはとても素晴らしい場所だった。ホテルもレストランも市場もあった」

 近くに住むジョージ・イブラヒムさん(55)は懐かしそうに言った。

 アレッポは2012年から内戦の戦火が広がり、アサド政権の政府軍と反体制派の前線の一つとなった。多くの住宅が被害を受け、歴史的なスーク(市場)やモスク(イスラム教礼拝堂)も破壊された。

 イブラヒムさんの自宅周辺も「大変な戦い」が起きた。自宅前の通りは戦場となり、買い物のため外出するのも命がけだった。

 16年に政府軍がアレッポ全域を制圧したが、その後も復興は進まず、避難した住民もほとんど戻っていない。

 アレッポが再び「解放」されたのは、昨年11月30日のことだ。

 わずか数日の戦闘で反体制派がアレッポを制圧し、そのまま首都ダマスカスへなだれ込んだ。アレッポ奪還は、昨年12月のアサド政権崩壊に向かう最初の一歩となった。

 あれから1年。イブラヒムさんはただ「このまま安全に暮らしたい」と願う。

 反体制派を率いたシャラア暫定大統領は29日、アレッポ城を訪れ、「解放」を祝う式典に参加した。

 そして、市民に向けてこう呼びかけた。

 「アレッポの解放により、シリア全土に希望が戻った。シリア再建のため、アレッポの復興は欠かせない」【アレッポ(シリア北部)金子淳】

毎日新聞

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