トランプ米大統領は２９日、自身のソーシャルメディアへの投稿で、南米ベネズエラの上空や周辺空域は「全面的に封鎖されている」と警告した。「全ての航空会社、パイロット、薬物密売人、人身売買業者」への呼びかけだとしている。米政権は麻薬対策を名目に、マドゥロ政権への圧力を一段と強めている。

　米連邦航空局（ＦＡＡ）は２１日、安全保障情勢の悪化を理由に、民間航空機に「全ての高度で危険が及ぶ可能性がある」とする航空情報（ノータム）を出した。航空各社がベネズエラ上空の飛行を停止するなど影響が広がっている。

　米軍は９月以降、ベネズエラ周辺で軍備を増強し、カリブ海に原子力空母「ジェラルド・フォード」を中核とする空母打撃群を展開。「麻薬密輸船」とみなした船を繰り返し攻撃し、８０人以上を殺害している。

　トランプ氏は２７日、海からの麻薬流入が激減しており「陸路でも止める」と述べ、近く地上攻撃に踏み切る可能性を示唆した。米紙ニューヨーク・タイムズによると、ベネズエラや隣国コロンビアにある麻薬関連施設などへの攻撃が検討されているという。【ワシントン金寿英】