米軍の麻薬船攻撃 「丸腰の2人を殺害」と野党批判 議員に映像公開

2025/12/05 16:34 

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 トランプ米政権が9月に南米ベネズエラ沖で初めて実施した「麻薬運搬船」への攻撃を巡り、作戦を指揮したブラッドリー司令官は4日、連邦議会に対し、米紙ワシントン・ポストが報じたヘグセス国防長官による船員の全員殺害命令はなかったと証言した。非公開の会合で説明し、米メディアが出席議員への取材を基に報じた。

 ワシントン・ポストは9月2日の攻撃で、米軍がヘグセス氏の口頭の命令に基づき、麻薬を運搬していると判断した11人の乗る船を攻撃後、残骸にしがみつく生存者2人を再攻撃して殺害したと報じた。

 出席した議員には当時の映像も公開された。米メディアは視聴した議員の話として、生存者2人は当初、上半身裸で、転覆して漂流している船の船首にしがみついていた。通信手段は持っておらず、約1時間かけて船を元に戻そうとしていたが結局できなかったとみられるという。

 CNNテレビによると、ブラッドリー氏は生存者が麻薬の運搬を継続する可能性があったとして再攻撃を実施したと説明。民主党のハイムズ下院議員は「丸腰の2人に対する殺害は見るに堪えなかった」と語った。一方、共和党のコットン上院議員は「完全に合法で必要だった」と擁護した。

 ヘグセス氏は2日、記者団に対し、1回目の攻撃を確認後に離席して再攻撃は後に把握したと釈明。全員殺害を命令したとする報道を否定している。民主党は国防総省に記録の開示をさらに求め、ヘグセス氏の関与を追及する構えをみせている。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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