「まだいるよ」 豪州の「SNS禁止」初日、首相投稿に10代返信相次ぐ

2025/12/10 19:18 

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 オーストラリアで10日、16歳未満の交流サイト(SNS)利用を禁止する法律が施行された。アルバニージー首相は同日の記者会見で「この改革で、子どもたちは本来の子ども時代を過ごせるようになる」と意義を強調した。一方、首相のSNSには10代前半とみられる子どもたちから、規制をすり抜けたことを示唆するようなコメントも相次ぎ、実効性を巡る課題が早くも表面化している。

 「私はまだここにいるよ」「禁止なんて意味がない」――。施行初日の10日、アルバニージー氏が、禁止対象に含まれる動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」に施行の意義を説明する動画を投稿したところ、こうした書き込みが相次いだ。コメント数は通常の投稿を大きく上回るペースで増え、数時間で2000件を超えた。

 法律では、SNSを運営する企業に年齢確認の「合理的な措置」を取るよう求めている。豪メディアによると、今回企業が導入した顔認証による年齢確認を巡り、著名人や親、きょうだいの写真で切り抜けた事例なども報告され、実効性に疑問の声が上がっている。

 一方、アニカ・ウェルズ通信相は10日、施行後に既に20万以上のティックトックアカウントが停止されたと公表。「子どもたちが今日回避できたからといって、1週間後、1カ月後もできるとは限らない。企業は定期的に16歳未満のアカウントを確認し続ける必要がある」と述べ、継続的な監視の重要性を訴えた。

 アルバニージー氏も施行前から会見で、今回の措置を未成年の飲酒に例え、「完璧とはならないだろう」と認めつつ、「(SNS利用を巡って)議論が生まれた時点で既に成功した」と語っていた。国としての禁止措置は世界初の試みで、「国際社会にも大きな変化をもたらすはずだ」と10日の会見で自信を見せた。既に欧州やアジアの国々が同様の措置を検討している。【バンコク国本愛】

毎日新聞

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