米欧協議、ウクライナ和平案で隔たり トランプ氏「強い口調の議論」
フランスのマクロン大統領、英国のスターマー首相、ドイツのメルツ首相は10日、米国が主導するウクライナとロシアの和平案について、トランプ米大統領と電話協議した。和平の条件について議論したとみられるが、トランプ氏は協議後、米メディアに「かなり強い口調の議論になった」と述べ、欧米間に主張の隔たりがあることを示唆した。
フランス大統領府によると仏英独の3首脳は電話協議で、「ウクライナで強固で持続的な平和を実現し、殺りくを終わらせるための米国の努力」を称賛した。そのうえで、和平の条件などについて意見を交わしたとみられる。マクロン氏は協議後、記者団に「我々全員に関わる問題について、議論を進めるため約40分間協議した」と語った。
一方、トランプ氏は「欧州首脳が週末にウクライナに関する会合の開催を計画しているが、米国の参加は確定していない」と述べ、現段階で米国側に参加のメリットがないとの認識を示した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、米国が提案した和平案の修正版を策定し、停戦後の「安全の保証」やウクライナの復興を巡る2文書などについて米欧と議論している。だがトランプ氏は再びロシア寄りの姿勢をみせており、停戦後もロシアが安全保障上の最大の脅威となるウクライナや欧州との温度差が顕著になっている。
米国は、ウクライナが一部を保持している東部ドンバス地方(ルハンスク、ドネツク両州)のロシアへの全面割譲を求めているが、ウクライナは現在の交戦ラインでの停戦を主張している。
停戦後の露軍の再侵攻を阻止する「安全の保証」については、米国側は具体的な関与の形を明らかにしていない。強力な防空能力や情報収集能力を持つ米国の貢献が不明確なまま、ウクライナがドネツク州に築いた防御拠点を手放せば、ロシアの再侵攻を許す懸念が高まる。
ウクライナを支援する仏英を中心とする有志国連合は、停戦後、ウクライナに欧州の平和維持部隊を派遣する計画を進めているが、ロシア側は反発している。有志国連合は11日にもオンライン会議を開き、米国の「安全の保証」への支援要請や、欧州独自のウクライナ支援策などについて協議する。仏英独の3首脳はベルリンで15日、首脳会議を開き、改めて和平案について議論する方針だ。【ブリュッセル宮川裕章】
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