カナダの人口が異例の「減少」に転じる 移民政策の転換が影響

2025/12/19 07:25 

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 カナダで移民政策転換の影響が人口統計に表れた。カナダ統計局が17日に発表した2025年10月1日現在の人口は、3カ月前から推計で約7万6000人減った。地元メディアによると、1940年代の統計開始から四半期ベースで人口減少がみられたのは、新型コロナ禍の時を除けば初めてという。

 連邦政府が学生向けビザ(査証)に発行上限を導入した結果、留学生の一時滞在者が減ったことなどが主な要因とみられる。発表によれば、推計人口は約4157万人で前四半期から0・2%減った。下落幅では過去最大という。

 カナダは出生率の低下で少子化が進行するが、経済成長と労働力不足の解消などを目的に移民を積極的に受け入れてきた。人口増加率は主要7カ国(G7)トップで、国民の4人に1人が外国生まれだとされる。

 しかし、コロナ後に移民の急増などを背景に住宅不足による家賃高騰が社会問題化すると、移民に対する世論が悪化。移民受け入れに寛容だった自由党政権は24年に方針転換を迫られ、留学や就労の制度を厳格化した。カーニー政権は27年末までに人口に占める一時滞在者の割合を、現状の6・8%から5%に削減する目標を掲げている。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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