フランス当局、「影の船団」とみられるタンカーの船長を拘束
フランス南部マルセイユの検察当局は25日、欧米の対露制裁を骨抜きにする闇タンカー群「影の船団」とみられるタンカーのインド国籍の船長(58)を拘束したと発表した。タンカーはアフリカ東部の島しょ国コモロ船籍を示す同国旗を掲げており、検察当局は船籍などに虚偽がないか調べている。
影の船団はウクライナに侵攻するロシアの主要な収入源である原油や石油製品を中国やインドなどに運搬しており、欧米が取り締まりを強めている。検察当局によると、このタンカーは1月上旬にロシア北部北極圏のムルマンスクを出港し、22日にスペイン、モロッコ間の地中海を航行中、仏海軍が拿捕(だほ)し、マルセイユ近海に誘導した。
英政府によると、英当局がタンカーを追尾し、フランスに位置情報などを提供した。
欧米などは露産原油に上限価格を設定し、それを上回る価格での取引には保険の利用を認めていない。これに対しロシア側は廃船間近の老朽タンカーを集め、船籍や保険を偽造するなどの手口で、原油などの輸出を続けている。影の船団が船籍を登録する国は行政管理能力が低い国が多く、中には利用されていることを認識していないケースもあるという。
国連海洋法条約では公海上での航行の自由を守るため、外国船への臨検が厳しく制限されている。またロシアによる報復への懸念から、影の船団と判明しながらも、見逃されるケースが多い。
一方、影の船団はロシアの戦争資金獲得に貢献しているほか、環境へのリスクも指摘されている。廃船間近の老朽船が使用され、整備状況が悪いことも多く、位置情報を隠し、タンカー同士が沖合で接近して原油を移し替えることなどもある。このため、衝突事故による油流出などが懸念されている。【ブリュッセル宮川裕章】
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