<特派員の目>イスラエルの「国連不信」はなぜ? 国連安保理の議論から考える=三木幸治

2026/08/19 10:00 

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 4月にニューヨーク支局に赴任し、国連の担当になった。私はエルサレム特派員時代(2021~24年)、イスラエル政府や国民が、国連への不信感を語る場面に多く遭遇した。実際、イスラエルは国連で不当に「差別」されているのだろうか。

 6月1日。レバノン情勢の緊迫化を理由に、フランスが国連安全保障理事会の緊急会合を要請した。常任理事国と非常任理事国の計15カ国に加え、イスラエル、レバノンも会合に参加した。

 当時、米国とイランの戦闘終結を巡る交渉が山場を迎える中、イスラエルと親イランであるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの交戦が続き、交渉のネックとなっていた。

 ヒズボラはイスラエル北部へのドローン攻撃を強め、イスラエル軍はレバノン南部への侵攻を進めていた。

 安保理では各国が順番に声明を出し、意見交換する。最後に発言したイスラエルのダノン国連大使はこう指摘した。「この中で、3カ国がヒズボラ(の攻撃)に言及しなかった。問題はヒズボラなのだ」

 フランスなどは、ヒズボラの攻撃を非難し、イスラエルの自衛権に言及した上で、双方に攻撃の中止や外交的解決を求めた。

 だが議長国のコロンビアは、「イスラエルの攻撃と(レバノン南部の)占領を全面的に非難する。これは違法な(領土)拡大のキャンペーンだ」と主張。パキスタンも、イスラエルによる「無差別な殺人と住民の強制避難、占領」のみを取り上げ、強く批判した。レバノンは自らヒズボラの攻撃を止められないにもかかわらず、ヒズボラに言及しなかった。

 イスラエルによるレバノン南部への攻撃で、多くの民間人が殺害されたのは間違いない。とはいえ、イスラエル側でも被害は出ている。ヒズボラを非難しないのは不公平だろう。

 こうして、イスラエルの「国連不信」は増強される。政府は他国の批判に執心し、メディアはそれを報道。自国についての「反省」は後回しにされる。

 各国には、さまざまな政治的事情がある。ただ、少なくとも国連での議論は、客観的な立場で正論を主張することが求められる。それでイスラエルの行動が変わるかどうかは分からないが。【ニューヨーク三木幸治】

毎日新聞

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