電子投票、サイトで公募 話題だらけ大阪・四條畷市長、20日初登庁
全国で約8年ぶりの電子投票が実施され、「求人サイト」を通じた公募で現職市長の後継候補が擁立されるなど、話題に事欠かなかった昨年12月の四條畷市長選。電子投票はトラブルなく、一騎打ちとなった元市議を破って後継候補が初当選した。20日に「新市長」が初登庁する。
任期満了に伴う市長選は市議補選と同日の昨年12月22日に投開票された。電子投票はデジタル化の先陣を切って22年前に登場したが、相次ぐ機器トラブルや事業者の撤退などで「休眠状態」になっていた。8年ぶりとなった電子投票は全国から注目を集めた。
実際、電子投票や開票作業はどのようなものだったのか振り返りたい。
投票は各記載台に設置してあるタブレットで、表示された候補者名をタッチするだけで完了する。今回、大きなトラブルもなく、約1万9000人が1票を投じた。実際に投票した高齢男性は「自分で名前を書かなくてよいので、簡単だった」と評価。その一方で「今回は候補者が2人だけで分かりやすかったが、何人もいて文字が小さかったり、一画面に収まらなかったりしたらどうなるのだろう」と不安も口にした。
投票データは、タブレットごとに記憶媒体で記録し、投票時間終了後に開票所へ運ばれた。午後9時半に開票作業が始まり、ケースから取り出した記憶媒体をパソコンにさしてデータを読み込み、市職員2人1組計8人で作業。2選挙の結果確定は午後11時10分だった。
投票用紙による不在者投票の作業も一部あったが、従来90人規模だった開票作業にかかる人員は、27人にまで減らせた。電子投票の疑問票は0票。一方、タブレット上で「投票せず終了」を選んだ人は、市長選で211人に上った。
開票にかかった時間は、前回の市長選の1時間40分と変わらなかったが、上嶋卓視・市選管事務局長は「選挙はミスなく終えることが重要で、緊張感を持って丁寧に作業をした。電子投票で有権者の意思を明確に示すことができてよかった」と総括した。
市長選で当選したのは、無所属新人で元市職員の銭谷翔氏(36)だ。現職市長の東修平氏(36)が、民間の求人サイトで後継候補を全国公募し、当初別の候補者が選ばれたが、健康問題で急きょ出馬を辞退。告示が迫る中、応募があった中から改めて銭谷氏が選ばれた。そのため、銭谷氏が出馬表明したのは12月に入ってからで、準備期間は短かった。
銭谷氏は同市出身で、バドミントンでは日本代表を経験。知名度の高い東氏とともに選挙戦を展開し、9989票を得た。銭谷氏は「市職員だった私は、知名度もなく政治経験も0だった。今回後継候補となったことで、さまざまな選挙に関わる事務手続きなども教えてもらえ、現職と一緒に選挙を戦うことができた」と公募による選挙活動のメリットを振り返る。
20日に初登庁し、いよいよ「銭谷市政」が始まる。銭谷氏は「皆さんへ恩返しができるよう分け隔てなく、市民が住みよい街にしていきたい。現場の声を聞いて、職員も前向きに働けるような市役所にしていきたい」と意気込みを語った。【芝村侑美】
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