福岡・福津市の基金、含み損が23億円に 国債と社債の時価下落で

2025/01/21 18:20 

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 福岡県福津市が、2019年8月~20年6月に基金から約74億円で購入した国債と社債の時価が約3割下がり、売却すれば損失が確定する「含み損」が24年9月時点で約23億円に上ることが分かった。日銀による24年のマイナス金利政策の解除などによって、債券の時価は大きく下がった。

 市によると、購入したのは国債の30年満期が約50億円分、40年満期が約2億円分、光通信(東京)の社債の30年満期が約20億円分。証券会社8社から購入し利率は年0・4~2・5%。満期には元本が戻る仕組みだが、49年と60年に満期を迎える長期債のため27年開校の小学校建設費だけで約78億円かかり、厳しい財政難が懸念される。

 国債と社債は基金で購入し、通常は短期で大量購入する際は担当部課長ら6人(当時5人)でつくる「資金管理運用会議」で協議するが、開かれていなかったという。

 市の基金は24年時点で約110億円あるが、23年11月の中期財政見通しには「財源不足が見込まれる」として24年度から5年間で約77億円を取り崩すことも盛り込まれた。

 市は今回の購入で年間約7000万円の利息を受け取っているが、24年に1億円分の国債を売り、約2500万円の損失を確定させる「損切り」をした。市は「(損切りなどは)慎重に行い、市民生活に悪影響のないよう対応する」としている。【荒木俊雄】

毎日新聞

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