賛成?反対? 選択的夫婦別姓めぐり相反する二つの意見書可決 香川
選択的夫婦別姓制度導入の是非が通常国会の大きな焦点になる中、香川県議会は19日、導入に後ろ向きな「『旧姓の通称使用』法制化を求める意見書」を賛成多数で可決した。最大会派「自民党県政会」と「みらい香川」の議員らが提出していた。
県議会は2021年、導入に前向きな「選択的夫婦別姓制度の議論の活性化を求める意見書」を可決。相反する2種類の意見書を可決したことになる。
今回可決された意見書は、政府がこれまで旧姓の通称使用拡大に取り組んできた結果、住民票や運転免許証などで旧姓の併記が可能となり、改姓に伴う不都合を理由とした制度導入を求める声は減っていると主張。その背景には「親子別姓が強制され、子どもに好ましくない影響を及ぼす懸念が広く認識されるようになった」ことなどがあるとしている。
一方、21年可決の意見書は「家族のあり方の多様化や価値観の変化を反映した世論の動向に鑑み、国の責務として議論していかなくてはならない」などと訴えている。
19日には採決に先立ち、反対討論があった。立憲・市民派ネットの植田真紀議員は「これからの社会を担う世代に家族のあり方を強制しない、選択肢のある社会を作っていくことこそ、政治の果たす役割ではないか」と発言。共産党議員団の樫昭二議員は「夫婦別姓にすれば家族の絆が弱まるのではなく、強制的に同姓にすることが絆を弱める」と訴えた。
香川県内では全17市町議会が制度の導入や議論の活性化を国に求める意見書を可決している。市民グループ「選択的夫婦別姓制度を願う香川県民の会(ぼそぼその会)」(高松市)の山下紀子代表は「旧姓の通称使用で苦しむ当事者の声を県内議会に届け、『別姓は子どもがかわいそう』といった誤解も解いてきた。(今回の可決で)当事者の声をないがしろにされ、非常に残念」とのコメントを出した。【佐々木雅彦】
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