酒米の高騰懸念 自民、立憲の「国酒」議連が小泉農相に対応要請

2025/06/11 17:05 

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 コメ価格高騰の余波が日本酒などの加工品にも及び、関係者に懸念が広がっている。自民、立憲民主両党の議員連盟は日本酒やみりんなどの蔵元が安心して生産に取り組めるよう、支援制度の拡充や新たな財政措置をそれぞれ農林水産省に申し入れた。

 自民の議連「国酒を愛する議員の会」の野田聖子会長らは9日、小泉進次郎農相と面会し、日本酒の原料となる「酒造好適米」について、新たな補助金の対象とすることなどを求める決議書を提出した。酒米の産地で主食用米の作付けにシフトする動きがあり、酒造好適米や加工米が確保できない危機にあるという。

 トランプ米政権による関税措置で輸出環境に不透明さが増す中、決議書では日本酒や焼酎の輸出促進対策も併せて求めた。野田氏は面会後、記者団に「日本酒は外国でも高い評価をいただいている。安定的な制度をお願いしたい」と語った。

 立憲の「国内酒業振興議連」の大串博志会長らも10日、日本酒や焼酎・泡盛、みりんの原料米確保のための財政措置を求める決議書を農水省に提出。「酒造好適米や加工用米は種もみや作付けの減少、価格の高騰などで今後、必要量の確保が困難になるのではないかとの強い不安が広がっている」として、蔵元が酒造りを継承できるよう原料米購入資金の支援を求めた。

 小泉氏は野田氏らの要請に対し「この秋の出来高も見ながら、国酒が戦っていける、増産していけるための産地を守っていく。産地の実態も詳しく確認する」と応じたという。

 小泉氏は今月4日、日本酒やみそのメーカー向けに政府備蓄米の放出を検討していると表明しており、対応を急ぐ考え。日本酒やみそのメーカー関係者とも近く面会する予定だ。【安部志帆子】

毎日新聞

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