厚労省、労働者と企業のニーズ調査へ 首相、労働時間規制の検討指示

2025/10/22 19:49 

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 上野賢一郎厚生労働相は22日の就任記者会見で、高市早苗首相から、現行の労働時間規制の緩和を検討するよう指示を受けたことを明らかにした。上野厚労相は時間外労働(残業)の上限規制緩和について、「総理の指示も踏まえて議論を深めたい」と述べた。

 高市首相は21日、厚労相への指示書に「心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討」との文言を盛り込んだ。首相は10月投開票の自民党総裁選でも同様の文言の公約を掲げていた。

 時間外労働の罰則付き上限規制は、働き方改革関連法の一環として2019年4月に導入された。現在の上限は原則月45時間、年360時間。繁忙期など特別な事情がある場合でも、過労死の労災認定基準に基づく「月100時間未満」「複数月平均で80時間以内」に制限される。

 働き方改革関連法は19年以降、順次施行され、5年後の見直し時期を迎えている。政府は今年6月に閣議決定した「骨太の方針」で関連法の「総点検」を盛り込み、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で見直しの議論が進む。厚労省は労働者と企業を対象にした労働時間に関するニーズ調査を実施し、11月をめどに公表する予定だ。

 上野厚労相は会見で、時間外労働の上限規制緩和を巡り「さまざまな声があることは承知している。上限は過労死認定ラインであることも踏まえて検討する必要がある」と述べた。調査結果などを踏まえ、労働政策審議会で議論を深める考えを示した。【塩田彩】

毎日新聞

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