参政党が宮城知事選に本格参戦 「ターニングポイント」と呼ぶ狙いは

2025/10/24 14:37 

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 参政党が宮城県知事選(26日投開票)に本格参戦している。6選を目指す現職の村井嘉浩氏(65)に対抗し、元自民党参院議員で新人の和田政宗氏(51)を「党を挙げた形」(神谷宗幣代表)で支援する。その狙いは何なのか。

 神谷代表は24日、国会内で記者団に、「これからの首長選に関わるかどうかを占う大切な選挙だ。最後に追い上げてしっかり勝ちたい」と強調。SNS(交流サイト)で「デマ」と指摘される情報が拡散されていることに関しては「事実に基づかない批判や個人的な誹謗(ひぼう)中傷は絶対に良くない。情報空間がどんどんおかしくなってくるので、我々も気をつけて発信していきたい」と語った。

 知事選には、いずれも無所属の村井氏と和田氏のほか、自然塾代表の新人、金山屯(じゅん)氏(85)▽元立憲民主党県議の新人、遊佐美由紀氏(62)▽元角田市職員の新人、伊藤修人氏(33)――が立候補している。

 9日の告示前も含め、神谷氏はこれまで県内で4回演説しており、25日も和田氏の応援に入る予定だ。他の所属議員も積極的に現地入りし、演説の動画をYouTubeで発信するなどSNSの選挙戦でも強力に支えている。

 知事選に関わるきっかけは、今夏の参院選中に起きた村井氏との確執だった。

 当時、神谷氏は街頭演説で水道事業の運営権を民間法人に売却した宮城県を「外資に売った」と批判した。これに対し、県は売却先の法人には外資系企業も含まれるが、大株主は国内企業だとして「外資へ売った事実はない」と反論。水道料金の改定は県議会で決めるなど「完全民営化とは決定的に異なる官民連携事業だ」と強調した。

 神谷氏は今月17日に公開したYouTube動画で、村井氏について「なんか議論しろとかですね、いろいろおっしゃるから、そんなに議論したいんだったら、もう選挙で戦った方がいい。選挙で議論をしている」と語った。

 こうした経緯があり、参政は知事選に別の新人擁立を模索していたが、和田氏が9月に立候補を表明。政策が近いこともあり、「候補者を一本化した方が現職を倒せる可能性がある」(神谷氏)と判断した。和田氏との間で「水道の再公営化の推進」などの「政策覚書」を結んだ。

 参政は23年の大阪府知事選に候補を擁立したことがあるが、首長選に総力を挙げるのは初めてで「ターニングポイント」と位置づける。

 これまでの地方選挙は、選挙区の定数が多く、確実に1議席確保が見込める議員選に候補擁立を絞っていた。

 神谷氏は22日の記者会見で「勝てない選挙を応援すると、(選挙の実動部隊である)党員の皆さんが『勝てなかったよね』とモチベーションが下がってしまいます。地方議員の選挙は『やれば勝てる』と見えているから、皆さんも一生懸命やってくださる」と説明した。

 転機になったのが、14議席獲得で躍進した今夏の参院選だ。

 「首長選は全く手が届かない、歯が立たないという状況でした。夏の選挙で一定数の支持をいただいて、そういったところ(首長選)に影響が及ぼせるのではないかと考えていた。タイミングを考えているところで、宮城で我が党が(候補を)出す意味があると思った」

 神谷氏はこう述べた上で、今後の展望を語った。

 「宮城で流れが変わると、全国の首長選にも参政党は関与していく」【田中裕之】

毎日新聞

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