防衛費増額を前倒しへ 高市首相、初の所信表明 経済政策を重視

2025/10/24 14:32 

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 高市早苗首相は24日午後、首相就任後初めての所信表明演説に臨んだ。内閣の最優先事項として物価高対策を掲げ、「強い経済」を構築するため「責任ある積極財政の考え方の下、戦略的に財政出動を行う」と表明。社会保障改革に向けて、超党派の議員や有識者で構成する「国民会議」の新設を打ち出したほか、防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%に増額する目標を、25年度中に前倒しする方針を示した。

 自民、維新連立政権については、「政治の安定なくして、力強い経済政策も外交・安全保障政策も推進できない。日本再起を目指す広範な政策合意の下、連立政権を樹立した」と説明。「政権の基本方針と矛盾しない限り、各党からの政策提案を受ける」とも述べ、少数与党の状況のなかで丁寧な合意形成を図る姿勢を強調した。

 与野党間で議論が進むガソリン税の暫定税率廃止に関しては「今国会での廃止法案の成立を期す」とし、軽油引取税の暫定税率も早期廃止を目指す考えを表明。25年度補正予算案成立に向け、「与野党で知恵を結集しよう」と野党に協力を呼びかけた。所得減税と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」の制度設計に着手する考えも示した。

 経済成長に向けては、経済安全保障や食料安全保障などの社会課題に官民が戦略的に投資する「危機管理投資」を成長戦略の肝にすると主張。先端技術の開発を通じた経済成長を実現するため「日本成長戦略会議」の創設を打ち出した。

 維新が看板政策に掲げ、災害時の首都機能のバックアップを担う「副首都構想」に関しては、「首都及び副首都の責務と機能に関する検討を急ぐ」との考えを示した。一方、維新との連立合意に盛り込まれた議員定数削減には言及しなかった。

 外国人政策に関しては、外国人材やインバウンド(訪日観光客)の重要性に触れつつ、「一部の外国人の違法行為やルールの逸脱に、国民が不安や不公平を感じているのも事実だ」と指摘。「排外主義とは一線を画すが、こうした行為には政府として毅然(きぜん)と対応する」と訴え、政府の司令塔機能を強化する考えを示した。

 外交・安全保障では、中国、北朝鮮、ロシアの軍事動向などを「深刻な懸念」と表現。日米同盟が基軸との姿勢を改めて明確にした上で、27~29日の日程で来日するトランプ米大統領との首脳会談では「信頼関係を構築し、日米関係を更なる高みに引き上げる」との決意を示した。

 国家安全保障戦略など安保関連3文書については、日本を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ「我が国として主体的に防衛力の抜本的強化を進めることが必要だ」と強調した。3文書の26年中の改定を目指し、検討を始める考えも明らかにした。【畠山嵩】

毎日新聞

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