2・26事件の90回忌 東京・渋谷の慰霊像前で遺族らが追悼式

2025/02/26 19:46 

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 陸軍の青年将校らが決起し、日本近現代史最大のクーデター未遂と言われる「2・26事件」から89年の26日、東京・渋谷の慰霊像前で遺族らが追悼式を行った。今年は90回忌の節目に当たり、亡くなった人たちの冥福を祈った。

 午前10時前、事件に参加した将校の遺族らで構成する仏心会の今泉章利さん(75)らが参列し、花や線香を手向けた。今泉さんは「残念な事件でしたが、犠牲になられた方々の気持ちを正確に知ってほしい」と話した。また各地で紛争や戦争が続く中、「日本、世界の平和を祈りました」と語った。

 今泉さんの父、義道さん(1995年に死去)は35年、22歳で陸軍少尉に任官し、初年兵教育の訓練を担当した。事件当日の午前3時に上官から突然、政府要人を殺害する計画を知らされて参加。事件後、禁錮4年の刑に処せられた。出所後、「部下たちの身代わりとなろうと思った」と話していたという。

 慰霊像は65年、全国1000人以上からの寄付金をもとに同会が建立した。周辺は元陸軍刑務所で青年将校らが銃殺された場所。毎年2月26日には、遺族らが殺害された政府重臣や警護で殉職した警察官、青年将校らを悼んでいる。今泉さんは学生の頃から父を手伝い、慰霊事業に関わってきた。遺族の高齢化が進む中、「追悼をどうするか考えていかなければ」と述べた。

 事件は、36年2月26日未明に発生した。「昭和維新」を目指す青年将校らに率いられた兵士約1500人が首相官邸などを襲撃。岡田啓介首相は無事だったが、高橋是清蔵相や警護の警官ら計9人が殺害された。29日に鎮圧され、軍法会議の結果、将校ら19人が処刑された。【栗原俊雄】

毎日新聞

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