無実の叫び、4度目も届かず 大崎事件支援者「裁判官の誇りどこに」
「あたいはやっちょらん」。高齢者施設で寝たきりの状態になりながら上げた4度目の無実の叫びも、司法には届かなかった。1979年に鹿児島県で起きた「大崎事件」で一貫して無実を主張し、殺人などの罪で服役後も諦めることなく、再審を求め続けた原口アヤ子さん(97)。支援者らは「原口さんの人権や人生を踏みにじる決定だ」と落胆や怒りの声を上げた。
「アヤ子さん、最高裁がまたしても訴えを棄却しました。不当決定です」。支援者の一人、武田佐俊さん(81)は原口さんが暮らす鹿児島県内の老人ホームで一報を伝えた。原口さんは近年、認知症などで会話が難しくなっているが、武田さんをじっと見つめ、相づちを打つように「うん、うん」と声を上げた。
武田さんによると、原口さんの体調はよく、駆けつけた支援者に言葉をかけられ涙を流す場面もあった。66年に静岡県の一家4人が殺害された事件で再審無罪が確定した袴田巌さん(88)の姉秀子さん(92)からも電話で「今回は残念だったけど再審法改正の動きもあるので、めげずに頑張ろうね」とメッセージが寄せられたという。
武田さんは「恥も外聞もない最高裁決定は失望の極みだが、原口さんは『これでめげては駄目だ』という思いではないか。彼女の強じんな精神力に支援者、弁護団の方が励まされている」と語った。
◇反対意見の最高裁判事も
原口さんの弁護団は26日、東京都内で記者会見を開き、「裁判官の誇りを疑わざるを得ない」と最高裁決定を批判した。
弁護側は今回の第4次請求審で、被害男性の遺体解剖時の写真を基にした救命救急医の鑑定を新証拠として提出し、殺人事件ではないと主張した。最高裁の多数意見は訴えを認めなかったが、5人の裁判官のうち1人だけ反対意見を述べた宇賀克也裁判官は、専門的知見に裏付けられた新証拠は信用できるとし、再審を開始すべきだとした。
弁護団事務局長の鴨志田祐美弁護士はこの反対意見を取り上げ、「再審を開始する理由が明らかになった。ここでやめたらアヤ子さんに顔向けができない」と話し、再審を今後も請求し続ける考えを示した。
再審制度を巡っては、与野党の国会議員が参加する超党派の議員連盟が、議員立法で刑事訴訟法の改正案を今国会に提出したいとする意向を示している。鴨志田弁護士は「再審請求審で検察官による不服申し立てが禁止されていれば、大崎事件は既に再審が開始されていた。類似の再審事件で明らかになった課題から問題提起し、法改正に向けた活動も進めたい」と語った。【取違剛、飯田憲】
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