オスプレイ7月から佐賀移駐 飛行ルートや訓練開始時期は「検討中」

2025/04/15 20:25 

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 陸上自衛隊の輸送機V22オスプレイを佐賀空港(佐賀市)に配備する計画を巡り、防衛省は15日、建設工事が進む佐賀駐屯地(仮称)を7月9日に開設すると明らかにした。木更津駐屯地(千葉県木更津市)に暫定配備中の17機を7月から8月中旬にかけて順次佐賀に移駐させる。

 九州防衛局の江原康雄局長が15日、佐賀県庁と佐賀市役所を訪れて幹部らに説明した。防衛省は2020年7月以降、17機を木更津駐屯地に暫定配備。木更津市との間で「5年以内の移駐」で合意しており、期限が今年7月9日に迫っていた。

 佐賀空港西側で23年6月に着工した駐屯地整備は、移駐に必要な設備の工事を6月末に終える。移駐完了時点で配置予定の隊員は約420人。移駐後もその他の工事を続け、目達原(めたばる)駐屯地(佐賀県吉野ケ里町)のヘリコプター約50機も佐賀駐屯地に移す予定にしている。

 一方、オスプレイ移駐時の飛行ルートや配備後の訓練飛行開始時期について、防衛局側は「検討中」などとして明言を避けた。

 説明を受けた佐賀県の前田直紀政策部長は防衛局側に対し「これまでの説明や約束を大切に、地元との信頼関係を築きながら一つ一つ丁寧に対応してほしい」と注文。その後、報道陣の取材に「県民にとって大きな関心事。安全対策の徹底と情報提供について申し入れていきたい」と述べた。

 移駐に1カ月を要する理由について、この日の閣議後記者会見で中谷元・防衛相は「飛行の安全確保が最優先」と説明。佐賀で報道陣の取材に応じた江原防衛局長も「機体の整備などさまざまな状況を勘案しながら安全に進める」と理解を求めた。

 佐賀へのオスプレイ配備は、相浦(あいのうら)駐屯地(長崎県)などに所在する「水陸機動団」の輸送などを担い、島しょ防衛能力を強化するのが狙い。一方、オスプレイを巡っては米軍機での相次ぐ事故で安全性への懸念が根強い。

 佐賀空港への配備に反対している「オスプレイ反対住民の会」会長でノリ漁師の古賀初次さん(76)=佐賀市=は「頻繁に事故を起こしているオスプレイの墜落の危険性は目に見えている。駐屯地開設の阻止はできないが、事故を不安に思う私たちの気持ちが防衛省には全く伝わっていないと改めて感じた」と話した。【成松秋穂、西貴晴】

毎日新聞

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