「大変無念」 運転手の勤務先がコメント 埼玉・八潮の道路陥没

2025/05/02 10:22 

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 埼玉県八潮市で道路が陥没しトラックが転落した事故で、トラック運転手の男性とみられる遺体が発見されたことを受け、勤務先を通じて男性の家族がコメントを公表した。勤務先代表と家族のコメント全文は以下の通り。

 ◇「ご協力に涙が止まりませんでした」

 本年1月に発生した八潮市道路陥没事故(本件事故)の被害者であるトラックドライバーが勤務する会社の代表者です。この場をお借りしまして被害者遺族様と共にコメントさせて頂きます。

 本件事故に関しましては、被害者であるトラックドライバーを救助するため、関係各署へ通報してくださった方、消防隊などが到着するまで交通整理などをして頂いた方、排水自粛などの不便を余儀なくされた近隣住民様、120万世帯にものぼる下水道排水関連地域の住民の皆様、企業様、店舗経営者様がいらっしゃいます。このように被害者救済活動に直接・間接に多大なる御協力を頂いたすべての方に対し、心より謹んで感謝申し上げます。このようなご協力を報道で目にするにつけ、涙が止まりませんでした。

 加えまして、温かい励ましの言葉を頂いた関連企業様、ご友人・知人の皆様、本当に有難うございました。それらの言葉に我々がどれだけ勇気づけられたことかわかりません。

 被害者遺族様、並びに弊社を代表して、心よりお礼申し上げます。

 トラックドライバーは必ずきっと生きて帰って来てくれると信じて、我々一同、希望を捨てず今に至りました。

 しかし、残念ながら大変無念な結果となってしまいました。

 被害者のトラックドライバーは、仕事に真面目で、とても温厚な方でした。

 おっちょこちょいな部分もありましたが、それも含め憎めない素直なお人柄であり、運転はその性格のまま、とても優しい運転をされていました。会社の事にも気にかけて仕事をしてくれる、会社にとって大変貴重かつ余人をもって代えがたい人物でした。ご高齢にもかかわらずムードメーカー的存在で、帰社すると事務所内も自然と笑顔に包まれたものでした。

 20年以上も働いてくれたのですが、体が動く限り働きたいとの本人の強い要望もあり、会社は将来的にも出来る限り雇用を継続していくつもりでおりました。

 本件事故は突然にやってきました。被害者のような良い方が何故このような悲惨な事故に巻き込まれなければならないのか、心の整理がつきませんでした。自分を責めることもありました。しかし、時が戻る訳はなく、あの日から被害者は帰ってきません。被害者遺族様も我々従業員一同も、被害者ドライバーのことを哀傷しきっております。

 もう2度と同じ思いはしたくありません。

 関係各署の、皆様には、本件事故の原因の特定・改善にご尽力いただき、2度と同じ事が起こらないように、世の中の人が公道を安心して走行できるようにしていただきたいと思います。

 ◇「かけがえのない存在でした」

<ご遺族様一同より弊社がお預かりしたコメント>

 事故から3か月以上が経ち、ようやく父が救出されました。

 道路陥没事故に巻き込まれるなんて、想像すらしていない出来事でした。

 落下した車内に取り残された父は、心の強い人だったので、恐怖や苦痛と戦って、力尽きるまで生きて帰りたいと思っていたはずです。

 それを想うと体が震え、胸が締め付けられる想いです。

 体が大きく、何かと頼れる父でした。少し頑固なところもありましたが、いつも笑顔で、とても優しく温厚な性格の父。

 私たちにとって、かけがえのない存在でした。

 孫が生まれ愛情を注ぎ、ひ孫が生まれ更に沢山の愛情を注ぎ、これからの成長をとても楽しみにしていました。

 みんなが大好きな父が突如として居なくなってしまった事実を、未だに信じることも、受け止める事もできません。

 まだまだ時間が必要です。

 今は父の為に、私たちが出来る事を精一杯やり、前に進んで行かなければならないと思っています。

以上

 ◇「従業員を守る事も使命であり責務」

 最後になりますが、本件事故によって、被害者を失ったご遺族様はもちろん、弊社においても、本件事故により心身面・事業の継続面等において甚大なる影響が生じております。

 私は被害者の名誉を守るのはもちろんのこと、現在働いて頂いている従業員を守る事も使命であり責務だと考えております。

 これまでも、ご遺族様や弊社は、報道機関の皆様に対し実名報道を一切控えていただくよう、強く要請しておりました。しかし、遺憾ながら、個人名や会社名を特定した、あるいは特定しうるような報道がなされ、それによってご遺族様等の傷ついたお気持ちにさらなる二次被害が生じることとなっております。今後は、被害者遺族様及び弊社において、本件事故に関する発表や取材への対応を行うことはございません。被害者遺族様や弊社を特定しうるような報道をすることや、当方らへの取材行為は控えていただきますよう、強くお願い申し上げます。

 会社代表

 被害者遺族様一同

毎日新聞

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