「見えなければ愛されない」 盲目女性の“恐怖”を和らげた出会い
「瞽女(ごぜ)唄うたい」として活動する広沢里枝子さんが初めて視覚障害者にあったのは高3の時。人生の指標を与えてくれた人になった--。
◆福沢諭吉のひ孫の福沢美和さん。同じ学園の卒業生で、同じ病気です。福沢さんが盲導犬を知ってもらうために書いた児童書「犬とわたしと白い杖」を読み、手紙を書いたら迎えてくれました。
きれいなブルーのセーターを着ていて、「私が編んだ」とおっしゃいました。自宅のクッションやカーテンも手作り。洋服が掛けてあるのが見え、シミがないか友達に見てもらってからしまうとのことでした。本を書く時はテープレコーダーに向かって話し、友達に書いてもらうと。
見えなければ何もできない、愛されない、必要とされない。そんな恐怖が、私にはまだある時でした。普通校の経験はありましたが、逆に障害者に会えず、どのように暮らしているかも知らないまま。すてきな生活に目が覚める思いでした。
福沢さんは「いろんな人がいるのよ。もっと会いなさい」と言って、東京都内にある日本社会事業大の人を紹介してくれました。点字入試を実現させ、通学路に音響信号を付けるなど街も変えた人。この出会いが、福祉を目指そうと思うきっかけになりました。
進学先は、長野県上田市の長野大だった。
◆最初は日本社会事業大を受験しました。問題が読めないので、得意な作文で受けられる推薦入試にしましたが、会場が暗くて試験用紙のどこに字を書いていいか分かりません。それでもとにかく書きました。帰りがけ、試験時間の延長措置を受けた障害者が、ライトをこうこうと付けた別室で受験している姿が見えました。
病気を隠し、そんな受験方法を調べる考えもなく、社会福祉が分かっていませんでした。落ちて当然。(出願が)間に合って受けた長野大は明るい会場でした。
大学では、授業や試験で障害者への配慮がないと「学内障害者の要求を実現する会」を作った。
◆障害がある学生と他の学生が対等に学べるよう、親友の女子学生と話し合い、まず当事者の会を作って支援者を集めました。
大学と交渉して改善できたこともありますが、当事者の意見がまとまらなかったり、支援学生が他の運動に移ったりして、4年の時に会はつぶれました。
会の活動に参加した中に、親身に支えた一人の男子学生がいた。彼が「目が不自由な子に結婚を申し込もうと思う」と父親に相談して反対されたと聞き、「私について目が不自由なことしか知らないの どうしてそんな言い方なの?」と叫んだ。
◆本当は「結婚するからな」と言ったようでした。
私は、就職して自立してからでないと結婚は考えられず、彼は一緒に就職先を探してくれました。でも、どこも厳しいのです。ハローワークでは履歴書も見てもらえず、ペラペラと紙をめくる音が聞こえて「脚や耳ならまだしも、目となるとねえ」と。
障害者、特に中途失明者のためにできることをしたいという夢があって、勉強も人一倍苦労したのに何も評価されない。全部塞がっていく感じで、私はどこで生きられるのか……という気持ちでいた時の結婚の話でした。
そんな時、導き手になってくれたのが名古屋市にある「名古屋ライトハウス」の岩山光男さんです。目が不自由ですが、障害者が自ら学んで自立することが大切と考え、奥さんと点字図書を作って郵送貸し出しを始めた人です。
「ここで働くため何を勉強したらいいですか」と聞くと、日本点字表記法という本を2冊渡してくれました。点字は読めませんでしたが、3カ月で点字で写し取り、返しに行ったら感心されました。偶然、退職者が出てライトハウスに就職できました。
半年後、彼と再会。互いを見つめ直し、3年後に2人で彼の父に結婚の意思を伝えると「そんなに愛していただか。分かった」と認めてくれた。東御市の夫の実家の隣で暮らし、長男を出産した20代後半、ほとんど見えなくなった。
◇広沢里枝子(ひろさわ・りえこ)さん。
1958年、静岡県沼津市生まれ。長野県に住んだのは上田市の長野大入学から。一時離れて、現在は東御市在住。盲導犬をパートナーに、「越後瞽女唄探求の旅」として演奏活動をしている。毎月最終土曜日の午後4時から30分間、信越放送(SBC)ラジオで、さまざまな分野で活躍する人を呼ぶ「里枝子の窓」のパーソナリティーを務め、同名のホームページでは普段の活動などを紹介している。
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