大屋根「リング」を原形に近い形で一部保存へ 万博閉幕後に

2025/06/03 17:30 

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 大阪・関西万博の大屋根「リング」(1周約2キロ)の閉幕後の活用について、国、大阪府と大阪市、経済界の代表者らが3日、同市内で会合を開き、原形に近い形で一部保存する方向性を確認した。府と市は北東側の約200メートルと南側の約350メートルを保存する案を提示し、まずは北東側での一部保存を模索する。今後、保存や維持にかかる費用など詳細を検討する。

 会合後、大阪府の吉村洋文知事と大阪市の横山英幸市長が報道陣の取材に答えた。23日に開催予定の日本国際博覧会協会(万博協会)の理事会でも議論する。

 リングは世界最大の木造建築物で、当初は閉幕後にすべてを解体する予定だった。府と市は万博会場のうち北側の跡地開発について、民間事業者の提案を求めた上で、2025年4月にまちづくりの指針となる「マスタープラン」を策定した。リングを「万博レガシー(遺産)」と位置付けて、北東の約200メートルをモニュメントとして保存する案と、ベンチなどの部材に再利用する案を示した。これを基に25年度内に事業者の募集を始める予定だった。

 リングの人気が高いことなどを背景に、吉村氏が5月、「今の形で残さないと意味がない」と主張し、南側約600メートルの一部を現状に近い形で残す案を提示。これを受けて、関係者間で協議を進めていた。

 府と市が新たに一部保存を提示したリングの南側約350メートルを含む区画は、まちづくりの計画が定まっていないが、万博会場内の「ウオータープラザ」を埋め立てるなどして、イベント広場などとして活用する構想がある。【鈴木拓也、岡崎英遠、新宮達】

毎日新聞

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