職権乱用しマイナ不正収集疑い 全国初逮捕 親族40人の扶養偽装か

2025/07/10 11:05 

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 親族14人のマイナンバーを不正に集めたとして、埼玉県警生活経済課は10日、同県所沢市の職員、田中海斗容疑者(31)=東京都八王子市=をマイナンバー法違反(職権乱用収集)の疑いで逮捕した。捜査関係者が明らかにした。県警は、不正に集めたマイナンバーを使って延べ40人以上を勝手に扶養に入れ、税金の控除や還付を受けていたとみている。職権乱用収集による立件は全国で初めて。

 マイナンバー法は、公務員らが職務と無関係にマイナンバーを収集することを禁じており、違反した場合は2年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金が科せられる。

 逮捕容疑は2023年2~3月、市役所のパソコンを使って住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)にアクセスし、親族14人のマイナンバーを印刷して不正に収集したとされる。

 捜査関係者によると、田中容疑者は当時、市民税課に勤務し、住基ネットやマイナンバーを閲覧する権限があった。不正に収集したマイナンバーを使って親族の収入や扶養の状況を調べ、自分と妻の扶養に入れることができる人物を探していたとみられる。

 要件に合う親族を見つけ、年ごとに入れ替えるなどしながら、自分たちの扶養親族にしていた疑いがある。夫婦は23年までの5年間で、延べ40人以上を扶養していたように偽装していたという。

 14人は、田中容疑者の6親等以内、妻の3親等以内の親族(当時30~90代)。いずれも、勝手に扶養に入れられていたことは知らなかったという。

 市が県警所沢署に「職員が職務権限を利用してマイナンバーを照会し、取得している」などと相談して発覚した。

 県警は、親族を扶養に入れることで税の控除を受けたり、過去にさかのぼって扶養控除の修正申告をすることで還付金を受け取ったりした可能性があるとみて、詐欺容疑も視野に捜査を進める。【板鼻歳也、田原拓郎】 

毎日新聞

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