トカラ群発地震、島を南に4.2センチ動かす 地下のマグマ関与か

2025/07/10 16:30 

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 トカラ列島の群発地震は6月21日から活発化した。政府の地震調査委員会によると、トカラ列島の島々は通常、フィリピン海プレートの沈み込みに伴い、年1~2センチほど海溝側の南東方向に動いている。ところが、国土地理院の報告では、今回の群発地震が始まった頃から、震源域の南端にある宝島が北東方向に1・8センチ、さらに、7月2日のマグニチュード5・6の地震直前には南方向へ4・2センチも動いたという。

 調査委の平田直委員長は9日の記者会見で「非常に大きな変動が観測されている。そうした変動を起こす力が地下にあって、地震を起こしている」と指摘。一つの可能性として地下のマグマの関与を挙げた。

 一連の地震は深さ約10キロの陸のプレート内で起きているとみられる。海洋研究開発機構の過去の海底探査では、この海域の深さ10キロ付近にマグマの可能性のある領域が見つかっている。

 京都大防災研究所火山防災研究センターの中道治久センター長(火山物理学)は「周辺で活火山に認定されているのは諏訪之瀬島ぐらいだが、活発ではないものの火山活動はあり、島の下10キロぐらいにマグマがあってもおかしくはない。今回の地震活動の中には(マグマや水などの)流体が関係する特徴を示す地震も少なからずある」と語る。【垂水友里香】

毎日新聞

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