長崎平和宣言の骨子 ノーベル平和賞受賞に言及 被爆者叫び発信

2025/08/01 17:41 

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 長崎県長崎市の鈴木史朗市長は1日、長崎原爆の日(9日)の平和祈念式典で読み上げる平和宣言の骨子を発表した。世界の紛争の即時停戦を訴え、核戦争に突入する危機感を表明する。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞に触れ、長崎で被爆した日本被団協元代表委員、山口仙二さん(2013年に82歳で死去)の演説を引用して核兵器の非人道性と「再び被爆者をつくるな」という被爆者の叫びを発信する。

 市によると、式典には7月28日現在、過去最多となる101カ国・地域と欧州連合(EU)が参列を予定している。今年は市が日本に公館のある全157カ国・地域を招待。22年のウクライナ侵攻後3年間、「不測の事態への懸念」を理由に招待が見送られてきたロシアは、今年、参列の意向を示した。他の核保有国ではイスラエル、インド、英国、フランスが参列予定で、中国と原爆投下国の米国は調整が続いている。

 宣言では、全ての国の指導者に人種や国境を超えた「地球市民」として分断を乗り越え、26年開催の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で核兵器廃絶への具体的道筋を示すよう求める。日本政府には、憲法の平和理念と非核三原則の堅持を訴え、核兵器禁止条約への署名・批准、核抑止に頼らない安全保障政策に向けたリーダーシップを要請する。【尾形有菜、樋口岳大】

毎日新聞

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