広島平和宣言に「ネバーギブアップ」 被爆者の言葉引用 骨子発表

2025/08/01 18:25 

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 広島市の松井一実市長は1日、広島原爆の日(6日)の平和記念式典で読み上げる平和宣言の骨子を発表した。長期化するロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃、米軍によるイランの核施設への空爆などを踏まえ、「自国を守るためには、核兵器の保有もやむなし」という考え方に警鐘を鳴らす。

 宣言は、安全保障政策自体が国家間の争いを生み出す原因になっているのではないかと各国の為政者に疑問を提示。広島を訪れて被爆の実相を確かめ、対話を通じた信頼関係に基づく安全保障体制を構築するよう呼びかける。

 また世界に核廃絶を訴え続けた被爆者の坪井直(すなお)さん(2021年に96歳で死去)の「ネバーギブアップ」の言葉を引用し、被爆者の体験に基づく平和への思いを伝えていく重要性を強調する。日本政府には、来年開催される核兵器禁止条約の第1回再検討会議にオブザーバー参加するよう求める。

 松井市長は記者会見で「平和宣言が為政者に過去の悲惨な歴史から教訓を感じ、考える動機付けになってほしい」と述べた。【安徳祐】

毎日新聞

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