熱中症対策に「塩こしあん」 和菓子店がのどごし重視の飲料誕生

2025/09/01 07:45 

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 残暑厳しい熱中症対策は、あんこで――。和菓子店「菓心まるいち」(佐賀市)は汗をかいた時に必要な塩分と糖分をバランス良く取れる、あんこ飲料「餡(あん)MMu塩こしあん」を開発した。和菓子の伝統技術を生かした、この時期ならではの商品が生まれたきっかけは、汗が似合う働く現場の声だった。

 「餡MMu」はパウチ容器入りのあんこ飲料で、のどごしの良い甘さが特徴。「MMu(ムー)」は「mobile(携帯できる)」「motive(原動力となる)」「utility(実用性がある)」の頭文字から名付けられた。「こしあん」「つぶあん」「はちみつレモン」の3種類があり、2024年3月から販売されている。

 「塩こしあん」の開発は「建設現場の熱中症対策ギフトとして、塩味を強くした餡MMuを作れないか」という相談を受けたのがきっかけだった。

 相談したのは「セリタ建設」(佐賀県武雄市)の芹田章博社長。セリタ建設は地盤改良や土木施工などを担う総合建設会社で、独自の地盤改良工法やICTを活用した技術革新にも取り組む。トライアスロンをする芹田さんは、あんこを使った補給食を試す中、餡MMuの存在を知ったという。

 そこで少量でも一定の塩分を取れるよう、1000ミリグラム以上の天日塩を配合。塩味を調整した試作品を3パターン用意し、芹田さんにも試食してもらって現場にも好まれそうな味を選んだ。味わいは汗をかいていない状態で飲むとややしょっぱいと感じるぐらいだが、汗をかいた現場の状況に合わせた。

 商品を試した芹田さんは「甘さに加えて天然塩の風味が利いており、ミネラルもしっかり補給できるので、汗をかいたときにちょうど良いと感じた」と話す。社員や現場からも「現場で使いやすい」などと好評という。

 芹田さんによると、現場だけでなく朝食のアレンジレシピとしても活用できるのではという声もあるといい「今回、『和菓子を通じて現場の課題を解決する』という一歩を踏み出せた。現場の声を取り入れながら、菓心まるいちさんと一緒に商品をアップデートしていきたい」と語る。

 「餡MMu塩こしあん」は1本100グラム(189キロカロリー)で451円。賞味期限は製造日より180日と日持ちもする。限定300本の販売で、菓心まるいちの鍋島本店(佐賀市鍋島町鍋島)▽兵庫店(同市兵庫南4)▽諸富店(同市諸富町諸富津)――の3店舗と公式オンラインショップで取り扱っている。

 予約は電話(0120・88・7701)か来店、公式ラインで。【石川貴教】

毎日新聞

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