NHK元中国人スタッフに1100万円の賠償命令 ラジオで不適切発言

2025/09/01 14:02 

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 NHKのラジオ国際放送の中国語ニュースで不適切な発言をしたとして、NHKが中国人の元男性外部スタッフに損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(足立堅太裁判長)は1日、元スタッフに請求通り1100万円の支払いを命じた。元スタッフは既に出国し、訴訟で反論する書面を提出していなかった。

 判決によると、元スタッフは2024年8月、東京都千代田区の靖国神社で落書きが見つかった事件のニュースを読み上げる際、沖縄県・尖閣諸島について「古くから中国の領土」と発言したり、「南京大虐殺を忘れるな」と述べたりするなどした。

 足立裁判長は、元スタッフの発言は日本の公的見解と異なり、国民の信頼を重視しているNHKの信用が国内外で著しく低下したと指摘。おわびの放送や経緯の説明の発表などの事後処理に多大な労力と放送資源が費やされたとした。

 判決を受けNHKは「主張が認められたと評価したい」とコメントした。

 一連の問題で、稲葉延雄会長らは報酬の一部を返納し、総務省はNHKに注意の行政指導をした。ラジオの中国語ニュースは人工知能(AI)音声による読み上げに切り替えられている。【安元久美子】

毎日新聞

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