福岡・大牟田のガス漏れ原因は「配管の穴」 三井化学が事故報告書

2025/09/03 18:56 

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 三井化学は3日、同社大牟田工場(福岡県大牟田市)で7月27日夜に有毒ガスが漏れた事故について、配管に穴が開いたことが原因だったとする報告書を県に提出した。事故を巡っては同社は警察などへ通報せず、出動した警察官や消防隊員が2次被害を受けており、通報マニュアル改訂など再発防止策も示した。

 報告書によると、二重構造の内側にある配管に付着した汚れを起因として応力腐食割れが生じた。ひび割れから工業用水が流れ込み、塩素系ガスと反応して塩酸が発生。塩酸の滴が別の配管を腐食させ穴を開け、ガス漏れにつながったとした。事故で警察や消防隊員を含む延べ234人(8月27日現在)が病院を受診した。

 また同社はガス漏れ発生後の対応も検証した。ガス漏れを知らせる検知器は作動したが、現場の運転員は誤報でないか現場確認を優先するため、宿日直者に自動で警報されるシステムが鳴らないよう操作していた。

 このため宿日直者は直ちにガス漏れに気づけなかった。一方、その後ガス漏れを現場確認した運転員から宿日直者は社内連絡を受けたが、詳しい情報が分からず通報しなかったという。

 報告書では配管点検の強化などに加え、自動警報システムが切り替えられないよう改善を明記。休日や夜間の外部通報は宿日直者の判断に委ねられていたが、今後はガス漏れの連絡を受けた場合、程度に関わらず通報するようマニュアルを改訂した。

 同社は8日にも事故後稼働を停止していたプラントを再開する方針。3日に生嶋亮介副知事に報告書を手渡した岡田一成常務取締役は「漏えい事故を起こし、誠に申し訳ございません。再発防止にしっかり努め、皆さまの信頼を勝ち得ていきたい」と謝罪した。【宗岡敬介】

毎日新聞

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