奈良・興福寺五重塔の瓦下ろし作業公開 修理完了は34年3月予定

2025/09/10 19:00 

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 古都・奈良のシンボル、奈良市の興福寺五重塔(国宝)で、大規模修理の最初の工程となる瓦を下ろす作業が10日、報道各社に公開された。塔は素屋根にすっぽり覆われており、最上層の屋根では、命綱をつけた作業員が1枚5キロの平瓦を外し、バケツリレーの要領で屋根から下ろした。

 平瓦や丸瓦など瓦は約6万枚あり、重さは計約200トン。1900(明治33)年以来の全面ふき替えとなる。ずれや破損が多くみられ、落下したこともあったという。2026年3月までにすべて下ろす予定。

 初層の四隅にある組み物の「大斗(だいと)」は重量負担が集中するためゆがんでおり、2層目以上をジャッキアップして4個とも交換する。しっくい壁も塗り直し、修理の完了は34年3月を予定する。総事業費は約65億円。

 多川良俊副貫首は「できるだけの修理をして未来につなげたい。(修理が終わるまで)健康に留意してもらい、塔をご覧いただきたい」と話した。

 五重塔は奈良時代、光明皇后の発願で建立。焼失を繰り返し、6代目の現在の塔は室町時代に建てられた。高さは約51メートルで、木造の塔では京都・東寺の五重塔(約55メートル)に次ぐ。【大川泰弘】

毎日新聞

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