宝塚「戦争肯定の意図ない」 宙組公演で歌唱の「海ゆかば」巡り

2025/09/30 18:49 

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 宝塚歌劇団は30日、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)で上演中の宙(そら)組公演で劇団員が「海ゆかば」を歌唱していたことについて、神戸の街の歴史を振り返るための演出だったとし、「決して戦争を肯定するような意図ではない」と説明した。毎日新聞の取材に答えた。

 「海ゆかば」は世界の港町をテーマにしたショー「BAYSIDE STAR」の中で使用され、神戸の街を描くパートでトップスターの桜木みなとさんが歌っていた。

 歌劇団は取材に「近代以降発展してきた神戸の街を舞台に、戦争、阪神・淡路大震災といった歴史を振り返りつつ、未来へ向けて幸せを願うという思いを表現することを演出意図としていた」と回答。同曲は戦時下に戦意高揚のためにラジオ放送されたり、戦死者の鎮魂歌として用いられたりしていたことから、交流サイト(SNS)上で「軍歌を歌わせないでほしい」との声が上がるなど楽曲の使用が物議を醸していた。

 歌劇団は「さまざまなご意見を頂戴していることを受け、当社において熟考を重ねた結果、歌唱は行わないこととした」として、9月24日の公演から劇団員による歌唱を取りやめたが、演出意図については説明していなかった。11月22日開幕の東京宝塚劇場公演からは、楽曲を差し替えて上演すると発表している。【水津聡子、小林杏花】

毎日新聞

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