宇都宮の認可外施設で乳児死亡から11年 事件の経緯は

2025/09/30 19:47 

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 宇都宮市の認可外保育施設「託児室といず」(廃業)で2014年7月、宿泊保育中に山口愛美利(えみり)ちゃん(当時9カ月)が死亡した事件をめぐり、第三者による検証委員会の設置を盛り込んだ条例案が30日、市議会で可決された。乳児死亡事件の経緯は以下の通り。【松沢真美、有田浩子】

 ◇事件前には抜き打ち調査依頼も

 2014年7月、山口愛美利ちゃんの両親が23~26日の宿泊保育を委託。愛美利ちゃんは23~24日にかけて計14回の水便。25日午後3時には38度を超える発熱で水分補給が困難になり体調が悪化。施設関係者は両親への連絡や医師の受診を怠り26日未明に死亡させた。死因は熱中症。

 「といず」をめぐっては同年5月、「息子の爪がはがれていた」として市に来庁相談があったほか、職員の知人と名乗る人から「毛布で子どもをぐるぐる巻き、ひもで縛って動けないようにしている」「子どもは30~40人保育されているが先生の数は1~2人」などと市に電話があり、抜き打ち調査の依頼があった。市は事前通告の上、立ち入り調査を実施。確認の結果、「危険と感じるところはなかった」などとした。

 市こども部の事務事業に関する23年度包括外部監査報告書では、事件を受けた市の対応について、「いくつかの改善策(夜間立ち入り調査の実施や消防との連携強化など)を講じているが、いまだ総括的な議論はされておらず、判決で指摘された事項について必要十分な対応策について検証が行われていない」と指摘している。

毎日新聞

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