高市首相の「WLB捨てる」 働く女性は肯定? それとも否定?

2025/10/22 05:00 

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 自民党の高市早苗総裁が21日、憲政史上初の女性首相に就任した。

 総裁に選出された今月4日以降、公明党の連立離脱に日本維新の会との連立樹立と、めまぐるしい動きがあったが、いよいよ首相としての仕事がスタートする。

 高市氏は総裁に選ばれた際、「ワーク・ライフ・バランス(WLB)という言葉を捨てる」などと発言している。

 働き方改革が進む中で物議を醸したが、実際のところ一般の働く女性たちはこの発言をどう受け止めたのだろうか。

 ◇「働いて、働いて、働いていく」

 総裁選で男性候補4人を破り、女性初の自民総裁に選ばれた高市氏は、選出直後のあいさつで「私自身もWLBという言葉を捨てる」と語ったほか、「働いて、働いて、働いていく」「自民党員には馬車馬のように働いていただく」などと述べた。

 発言はすぐに物議を醸し、高市氏は翌5日、記者団に「皆様の方はWLBを大事になさってください」などと笑顔で声をかけた。

 また、7日には三原じゅん子こども政策担当相(当時)が閣議後の記者会見で「自民党議員に向けた総裁としての決意を述べられたのだと思う」と前置きしたうえで「WLBは極めて重要なもの」と強調し、話題を呼んだ。

 ◇「ポジティブ」の割合と理由は

 この件について、女性向け転職サイト「Woman type(ウーマンタイプ)」は8~9日、20~49歳の働く女性を対象にウェブ上で緊急調査を実施し、100人から有効回答を得た。

 それによると、高市氏の発言を「ポジティブ」に受け止めた人は53%と半数以上に上った。

 選択肢を示す形で理由(複数回答可)を聞いたところ、多い順に「あくまで個人の決意表明に過ぎず、国民のために思い切り働く姿勢は素晴らしい」(46%)▽「仕事への本気度が伝わってくる」(31%)▽「仕事に全力を注ぐ女性はカッコいい」(12%)▽「思い切り働くことは悪いことではない」(11%)――となった。

 自由記述では「発言の後に『私自身働いて、働いて、働いて』と付け加えており、改革意欲を感じた」「なぜ批判されるのか理解できない。働く女性代表として頑張ってほしい」などの声も寄せられ、言葉の裏にある高市氏の強い覚悟や情熱を評価するような意見が見られたという。

 ◇「言葉の使い方考えさせられた」

 一方、発言を「ネガティブ」に受け止めた人は29%で、「どちらでもない」は18%だった。

 ネガティブに捉えた理由(複数回答可)で最も多かったのは、「国のトップに立つ人が発言することで、WLBを軽視する企業が増えそう」(35%)だった。

 2番目以降は、「国全体が、WLBを軽視していた頃に戻ってしまいそう」(31%)▽「長時間労働を美徳とする風土が広まりそう」(16%)▽「男性のように働く女性でなければ、リーダーにはなれないことを象徴しているよう」(14%)――などと続いた。

 回答者に自由記述で声を聞いたところ、「一般への影響も少なからずあり、困る人も多くなるのではないか」「国のトップの発言は大きな影響があるため、言葉選びの慎重さも必要」などと、発言の真意よりも、その影響を不安視するコメントが目立ったという。

 こうした結果について同サイトの編集長は「長時間労働を推進するものではまったくなく、『リーダーの熱意と覚悟』と好意的に捉える見方が過半数だった。高市さんが見せてくれた強い決意は否定するものではなく、多くの方の胸を熱くさせるものだった」とした一方、「とはいえ、これほど議論を呼ぶ『馬車馬』『WLBを捨てる』という言葉の強さについては、改めてその使い方を考えさせられた」とコメントした。【稲垣衆史】

毎日新聞

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