クマ対策で陸上自衛隊を派遣 人身被害相次ぐ秋田で5日から活動

2025/11/04 19:30 

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 防衛省は4日、クマによる人身被害が深刻化している秋田県で、5日から陸上自衛隊の活動を開始すると明らかにした。具体的な活動内容や役割分担について秋田県と正式合意したうえで協定を締結し、まずはクマによる襲撃が相次ぐ鹿角(かづの)市で捕獲用の箱わなの輸送支援を実施する。

 派遣する部隊は、秋田駐屯地(秋田市)に拠点を置く第21普通科連隊。重さ100キロ超とされる箱わなの輸送に加え、駆除したクマの輸送や地元猟友会のサポートといった後方支援活動を実施する方向で調整している。武器使用を伴う駆除は行わない。

 関係者によると、当面の派遣期間は11月末までを想定。秋田県には県内の他の自治体からも陸自の派遣要望が寄せられており、派遣先は大館市や北秋田市も検討されている。

 小泉進次郎防衛相は4日の閣議後記者会見で「自衛隊の本来任務は国防であり、無制限にクマ対策を実施することはできないが、国民の命と暮らしを守り抜くことを任務とする観点から、事態の特異性も鑑みて必要な取り組みを行っていく」と述べた。

 今回の陸自派遣は、自衛隊法83条の災害派遣ではなく、自衛隊の「訓練」になる場合に民生協力として自治体から輸送や防疫などの業務を受託できる同法100条に基づく。防衛省によると、自衛隊員の給与や食費、車両修理費などを除く費用は委託元の自治体側が負担する仕組みで、こうした点を含めて秋田県と調整を続けている。

 クマによる人身被害が各地で多発する中、秋田県の鈴木健太知事が10月28日に防衛省で「県と県内市町村、県警と力を合わせて駆除に努力してきたが、現場の疲弊はピークを迎えている」などとして、自衛隊の支援を小泉氏に直接要望していた。【松浦吉剛】

毎日新聞

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