松江市、旧知事公舎の取得断念 空き家状態から活用策見いだせず

2025/11/07 21:23 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 2023年度で廃止された島根県の旧知事公舎(松江市北堀町)の活用を表明していた上定昭仁市長は7日の定例記者会見で、一転して取得しないと発表した。松江城北側にあり、武家屋敷などが並ぶ市の一等地にある旧公舎の活用策は振り出しに戻った。県は今後、公募して売却する方針。

 旧知事公舎は、敷地約2500平方メートルに建つ木造平屋で、1986年に完成した。公邸や私邸、庭園があり、資産価値は約2億円という。歴代3知事が住んだが、2019年に初当選した丸山達也知事が市内にマンションを購入したため、空き家になった。

 県庁内で活用案が出ず、松江市に照会した結果、市は24年7月末に活用すると回答した。上定市長は宿泊や地元産品の飲食や物販のほか、和菓子や茶の湯文化を体験する施設にすると表明していた。

 上定市長の説明によると、当初は知事公舎の跡地に街の景観を損ねる建物が建つ恐れがあると考え、市による活用を模索。しかし、関連の法律を精査した結果、高層の建物などは建設できないと確認できたため、取得を見送ったという。

 さらに、市には民間業者から公舎活用について問い合わせがあるといい、上定市長は「民間が主体となって活用を検討する兆しが見えた」と語った。【村瀬達男】

毎日新聞

社会

社会一覧>