現役志願率、就職率、自殺者数… 特別支援学校生の除外、他にも

2025/12/11 05:00 

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 文部科学省が18歳人口の集計から特別支援学校(特支)卒業者を除外していた問題で、文科省が関係する他の複数の調査や統計でも特支の児童生徒が対象になっていないケースがあることが判明した。障害の特性や調査による現場への負担などが理由とみられるが、経緯が不明なものもある。文科省は一部について特支を含む形への見直しを進めている。

 文科省が所管し、大学入学共通テストを実施する独立行政法人大学入試センターは、毎年公表する現役志願率の分母に特支高等部の3年生を含まずに算出していた。センターは「文科省の学校基本調査の速報値で特支高等部の生徒数が公表されないため」と説明。文科省は速報値で特支高等部を公表していない理由について「不明」としている。

 文科省が学校基本調査の見直しを始めたことを受け、センターも現役志願率を特支高等部の生徒を含む形で算出することを検討するという。

 文科省が年3回公表する高校生の就職率や内定率に関する調査は国公私立の高校と中高一貫校のみが対象で、特支高等部は含まれていないが、別の調査で就職率は把握されている。高等部の進路は福祉施設への入所・通所が最も多く、高校・中高一貫校と合算すると就職率が下がる可能性がある。

 また、いじめや不登校の数などを文科省が集計する問題行動・不登校調査では、いじめの件数は特支を含んでいるものの、暴力行為や自殺の件数については特支が対象から外れている。担当者は暴力行為について「障害の特性により意図的かどうかわからない場合などを考慮する観点もあると思う」と推測。自殺は「警察庁や厚生労働省が全数を把握している」とした。

 児童生徒の身長体重などを調べる学校保健統計調査は省令で、小中高は毎年、特支は文科相が指定した年に実施すると規定されている。ただ、1996~2024年度の調査には特支の結果は明示されていない。担当者は「一般的に、実施の有無は現場の負担などを考慮して決められる。恣意(しい)的に差別することはない」としている。【斎藤文太郎、西本紗保美、木原真希】

毎日新聞

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