冬の避難、低体温症に注意 「露出少なく、体がぬれないように」
冬に起きた地震は寒さや積雪の影響で、住民には避難の遅れや低体温症の恐れがある。寒冷地での防災対策に詳しい日本赤十字北海道看護大の根本昌宏教授は「雨や雪でぬれないようにすることが大切だ」と指摘。「一人一人が想像力を高めて対策してほしい」と呼びかけている。
青森県で8日に震度6強を観測した地震を受け、政府は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表。日本海溝・千島海溝付近で、より大きな「後発地震」が起きる可能性が平常時より高まったとしている。
注意情報の対象は、北海道から千葉県の太平洋側を中心とした7道県182市町村。住民に対し、すぐに逃げられる態勢の維持や非常持ち出し品の常時携帯といった「特別な備え」と、家具の固定や非常食の備蓄確認など「日ごろの備え」を呼びかけている。事前の避難は求めていない。
根本氏は被災時の冬季の避難に関し「衣服や体がぬれると急激に体が冷えてしまう。レインウエアなど撥水性(はっすいせい)の高い服や帽子、手袋を身につけて露出を少なくすることが大切だ。普段の冬の服装に、追加で全身を覆うイメージを持って防寒具を準備して」と強調する。
また根本氏は、携帯トイレや非常食、寝袋、持病薬、上履きなどの準備も呼びかけている。特に津波の危険がある地域については「1分1秒を争う状況で迷わず安全に避難するため、(被災時に取るべき行動を時系列で整理した)行動計画を決めておいてほしい」と話す。
日本海溝・千島海溝沿いでは過去、2011年の東日本大震災をはじめ大きな地震が繰り返し起きてきた。政府の想定では、冬の深夜にマグニチュード(M)9級の地震が日本海溝で起きれば死者は最大19万9000人、千島海溝なら10万人とされる。避難できたとしても、寒さで低体温症となって対応が必要な人もそれぞれ、4万2000人と2万2000人と見込まれる。
ただ、津波からの避難意識の向上などにより死者は8割減り、防寒具や暖房器具などの備えをすることで低体温症リスクも減らせるとしている。【古瀬弘治】
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