ドローン飛行禁止、重要施設周辺1000mに 直罰化も 法改正へ
小型無人機ドローンの性能向上に対応するため、警察庁の有識者検討会は18日、重要施設周辺の飛行禁止区域を現行の約300メートルから約1000メートルへ拡大するよう提言した報告書を公表した。この区域での飛行を「直罰」で禁止することも盛り込まれており、警察庁は報告書を踏まえて、ドローン規制法改正案を2026年の通常国会に提出する。
規制法の対象施設は、首相官邸や国会議事堂、自衛隊施設、空港、原発など8日現在で470施設が指定され、敷地上空の「レッドゾーン」と周辺約300メートルの「イエローゾーン」での飛行が禁止されている。
警察庁によると、規制法が施行された16年当時のドローンの速度は時速約50キロだったが、現在は150キロで飛行できる機種もある。映像の伝送距離は当時の最大200~300メートルから10キロへと大きく性能が向上。テロで悪用される脅威が増しているとされる。
イエローゾーンで飛行させた操縦者には現行法では、警察官が飛行停止などの措置命令を出して対応。だが、イエローゾーンの外からのドローン操縦が可能となり、警察官が施設周辺で違法な操縦者を発見することが困難になっている。
そこで報告書では、イエローゾーンを約1000メートルに拡大すべきだと指摘した。ドローンが時速150キロで飛行した場合、約1000メートルあれば、施設接近まで24秒かかる。その間に警察官が妨害電波を飛ばす「ジャミング」などで阻止する時間が確保されるという。
また、ドローンは最大積載重量も向上し、施行当時の80グラム~5キロから30キロに増加。ライフル銃を搭載して遠隔操作で撃つことも可能となっている。
現行法ではイエローゾーンの飛行は、警察官が措置命令を出しても従わない場合に罰則が適用される「間接罰」となっている。これに対して報告書では、措置命令を経ずに直ちに罰則を科す「直罰」とすべきだと提言した。
一方で、レッドゾーンと同等の危険があるとは言えないとして、罰則はレッドゾーンの「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」よりも軽くする必要があるとした。
報告書では、対象施設を拡大すべきだとの指摘もあった。主要7カ国首脳会議(G7サミット)といった重要な国際会議、天皇、皇后両陛下の恒例の地方訪問の「4大行幸啓」、首相ら要人が訪れる沖縄全戦没者追悼式などの会場も、事前準備を含めて必要な期間を定めて指定できるようにすべきだとした。【深津誠】
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