徳島市、生活困窮者に賞味期限切れ食料配布 「自己責任」の同意書も

2025/12/22 18:27 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 徳島市は22日、生活に困窮した市民から相談を受けた際、賞味期限の切れた食料を配っていたと発表した。市によると、体調を崩しても自己責任とする同意書へのサインも求めていた。市は報道機関の指摘を受け、同意書や賞味期限が切れた食料の配布をやめた。

 市健康福祉部によると、2023年5月~25年12月、アルファ化米や缶詰パン、ペットボトル入りの水の計1487点を85人に配布。このうち、59人に配った1102点は賞味期限切れで、最長で1年2カ月過ぎたものもあった。健康被害は確認されていないという。

 配布の対象は、生活保護申請時や受給中に手持ちの金が不足し、緊急支援が必要な人たち。窓口を訪れた際に担当者が「こんなものしかないが、構わないか」などと、一部賞味期限切れであることを説明して配った。その際、食料は賞味期限切れ▽体調を悪くした場合、自己責任▽今後、適切な金銭管理の徹底に努める――と記した同意書へのサインを求めていた。

 食料は市の災害備蓄物資で、入れ替えなどで余った分を当時の担当者が譲り受け、試食して品質に問題ないと判断して配布を始めたという。

 市防災対策課によると、賞味期限が残り少なくなった備蓄物資は、防災訓練の参加者らやフードバンクなどに配布・譲渡する例もあるが、いずれも賞味期限内であることが前提という。

 市担当者は「本来、生活困窮者に寄り添うべきところ、『自己責任』などの言葉で傷付けてしまい、反省している。生活支援に際しては、その人の尊厳を守るという原点に立ち返り、信頼回復に努めたい」と話している。【植松晃一】

毎日新聞

社会

社会一覧>