自衛隊性被害訴訟で和解 五ノ井さん「自分の足で歩き出すスタート」

2026/01/26 20:35 

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 陸上自衛隊での性被害を実名告発した元自衛官、五ノ井里奈さん(26)が国と元陸自隊員5人=いずれも懲戒免職=に対して損害賠償を求めた訴訟は26日、五ノ井さんと国、元1等陸曹の和解が成立した。他の4人とは既に和解しており、強制わいせつ罪で3人の有罪が確定した刑事裁判を含め一連の裁判が終結した。

 東京都内で記者会見した五ノ井さんは「声を上げてからの4年半は長くて重くて立ち止まることができない時間で、生きるだけで精いっぱいの日もあった。(和解は)ようやく自分の人生を自分の足で歩き出すためのスタートだと思う」と語った。

 五ノ井さんは陸自郡山駐屯地所属だった2020~21年に複数の隊員から性的な発言や身体接触を受け、被害を上司に相談しても調査されなかったなどとして、23年1月、横浜地裁に提訴。国家賠償法に基づき国に200万円を、元隊員5人に慰謝料550万円を請求した。今回の和解は、職場の安全配慮義務違反などを国が認め、160万円を支払う内容。元1等陸曹による賠償はないという。

 五ノ井さんは会見で、和解協議で元1等陸曹が自身の行為を謝罪することはなかったとした上で「裁判を続けるよりも、声をあげられない人や声を上げた人を守る活動をすべきだと判断した」と和解の経緯を説明。ハラスメント被害者の相談窓口や居場所となる一般社団法人「みらいセーフティJAPAN」を今月発足させたと明らかにした。

 また、東日本大震災で被災した際に出会った女性自衛官に憧れて陸自に入隊したと振り返り、「自衛隊には今でも感謝しているし、大切に思っている。良くなってほしい」とも訴えた。

 防衛省は「隊員の意識改革や事案の迅速な解決体制の構築等の実効性のある防止対策を通じて、ハラスメントを一切許容しない環境を構築してまいります」と文書でコメントした。同省によると、五ノ井さんの実名告発を受けて22年に始まった特別防衛監察では1325件の被害申告があり、25年12月末時点で307人を処分。20件の調査が継続中という。【松浦吉剛】

毎日新聞

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