証拠開示を義務化、検察の抗告認める 再審見直しで法制審が要綱案
確定した刑事裁判をやり直す再審制度の見直しを議論している法制審議会(法相の諮問機関)の部会が2日、法務省で開かれ、再審請求審での証拠開示を義務化する規定を盛り込んだ刑事訴訟法改正の要綱案をとりまとめた。再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)は禁止せず、明文化したルールがない現行の運用をおおむね踏襲する内容となった。
部会がとりまとめた要綱案は、法務省が衆院選後の国会に提出する見通しの刑訴法改正案の骨格となる。日本弁護士連合会側は「内容が不十分」と反発しており、冤罪(えんざい)救済や審理の迅速化の実効性の確保が国会審議でも焦点となる。
再審請求では、確定審で有罪となった元被告側が「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」を提出する必要があり、過去の再審無罪事件では裁判所が検察側に保有する証拠の開示を促すことで事態が動いてきた。
要綱案はまず、裁判所が再審請求の理由がないことが明らかと認めた場合、証拠開示などの審理に入る前に請求を棄却できる「スクリーニング(選別)規定」を設けた。これまでも同じ理由で再審請求を繰り返すなど明らかに要件を欠く請求は実質的な審理なしで棄却しており、裁判所側は合理的な規定と評価する。
次に選別後の審理で元被告側が証拠開示を求めた場合、裁判所は「再審請求の理由と関連する証拠」について、相当と認める時は検察官に提出を命じなければならないとした。従来は証拠開示を促すかは裁判官の裁量によるところが大きく、義務規定にして制度として担保した。
証拠の目的外使用を禁じる規定を新たに設け、元被告側が再審請求手続きに使う以外の目的で開示証拠を人に提供・提示した場合、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を科す。
また、再審開始決定に対する検察官の抗告を認めた。抗告による審理の長期化への批判があったが、検察側は「誤った決定を是正する機会がなくなる」と禁止に強く反対していた。
日弁連側は、選別規定、証拠開示の範囲、開示証拠の目的外使用禁止、検察官抗告にはいずれも問題点があるとし、「現行よりも後退する改悪だ」と主張してきたが、要綱案には反映されなかった。
再審制度の見直しは、静岡県で一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(89)の再審無罪が2024年10月に確定したことで進展した。法制審部会は25年4月から議論を始め、2日は多数決で要綱案を採決した。【巽賢司】
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