そこでお花見大丈夫? 倒木相次ぐ桜、危険樹木の見分け方

2026/03/20 10:52 

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 春の訪れを告げる桜(ソメイヨシノ)が各地で咲き始め、東京都心でも19日、開花が宣言された。お花見を待ちわびる人も多いと思うが、桜の名所として知られる東京都世田谷区の砧公園では7日、桜の木が突然倒れ、来園者がけがをする事故が起きた。近くの駒沢オリンピック公園でも昨秋、桜の倒木による人身事故が起きるなど、身近な都市公園などでの事故が増加している。

 花見への影響はないのか?

 倒れる可能性のある木を見分ける方法は?

 専門家に見解を聞いた。

 ◇「予期は困難」

 <桜が咲いた後じゃなかったのが不幸中の幸い 気をつけて花見せねば>

 <花見行くの怖くなってきた>

 砧公園の桜の倒木を受け、X(ツイッター)上には、花見シーズンを前に、不安を訴える投稿が上がった。

 砧公園を管理する都が13日に公表した報告書などによると、倒れた桜は芝生が広がるファミリーパーク内のソメイヨシノ。全長10メートル以上で、幹回りは300センチもあった。

 倒木後に樹木医が診断したところ、カビのようなものによって根が腐朽し、強度が失われていた。

 さらに3月初めの降雨で地盤が軟化したとみられ、幹が折れるのではなく、根元から倒れる「根返り」が起き、来園者がけがをした。

 砧公園によると、専門の研修を受けた職員による定期点検や日常的な巡回での目視確認が行われていたが、直近では幹の腐朽や打音の異常は見られず、「倒木の予期は非常に困難だった」としている。

 同園内の桜は約800本あるが、まずは倒木した周辺の桜を中心に樹木医が診断した結果に基づき、剪定(せんてい)や伐採を行う方針だ。

 事故による花見への影響について、担当者は「樹木に異常が見つかった場合、周辺の立ち入りを規制するなどの措置をとりたい」と話した。

 ◇事故数最多は東京

 注意すべきは桜ばかりではない。

 7日に桜が倒れた砧公園では、翌8日にもヒマラヤスギが倒れている。

 国土交通省によると、公園樹木の倒木や落枝などの発生件数は2023年度から全国的に急増している。樹木の種類はコナラが最も多く、サクラ類は2番目だ。

 中でも事故が最も多く発生しているのが東京都だ。

 21~24年度(24年は11月時点の集計)に全国で発生した事故は計931件(人身事故は77件)に上る。

 このうち、東京は179件で、24年にはイチョウの木の枝が折れ、下敷きになった歩行者が死亡した。

 国交省の担当者は「東京は人口が多く、都市部に多数の公園が集中する過密状態のため、倒木などが起きた際に事故につながる確率が高くなるのではないか」と指摘する。

 ◇倒木が増える理由

 なぜ、倒木は増えているのか?

 日本樹木医会理事の小林明さんによると、1950年代以降の高度経済成長期に公害などの環境問題が社会的な関心事になり、大気汚染対策や緑化整備の一環として各地の都市公園や道路に桜などの樹木が植えられた経緯がある。

 それから60~70年。当時植えられた木々が一斉に老齢化しており、小林さんは「日本の人口構成と同じように、樹木も高齢が多いいびつな形になっている。安全面から見たリスクが高い樹木は、確実に増えています」と指摘する。

 ◇整備が進まないワケ

 特に全国のソメイヨシノにはある特徴があるという。

 もともとは一つの樹木から増殖された遺伝的に同一なクローンであるため、ほぼ同じタイミングで開花・満開を迎える半面、特定の病気への抵抗力の弱さも共通している。

 小林さんによると、成長が早く、見栄えの良さから選ばれたものの、数百年も生存しているエドヒガンなどの種類に比べ、70~80年経過すると多くが衰弱する。

 50~60年もたつと、枯れた枝が目立ち、コフキタケなどのキノコの胞子が根元などに侵入すると、腐朽によって根元や幹の強度が徐々に失われ、倒木の危険は増えていく。

 一方、管理や更新のための費用や人員は不足しており、膨大な数の桜の管理が間に合っていない。

 また、長年地域住民にめでられてきた桜の伐採には、丁寧な周知が必要になるなど、植え替えといった整備が進めにくい背景もあると指摘する。

 ◇見分けるポイントは?

 公園職員らによる点検で異常が見られた場合、樹木医が診断するが、幹の中心部の腐敗や根腐れは見た目だけでは判別しにくいため「見逃し」もあるという。

 「倒木などの可能性がゼロではない以上、来園者が木々の状態に注意を払う意識を持つことが必要な時が来ていると思います」

 では、危険な木なのかどうか、見分けるポイントはあるのか?

 小林さんは、成熟した大木にもかかわらず、以下の3点が見られる場合には特に注意を呼びかけている。

 ①一部の枝に花がない

 まず、大きな枝にもかかわらず、他の枝と違って花がない場合、すでに枝が枯れており、風などで落枝の危険が高まる。桜の花が散った春以降の季節に葉のない枝も要注意だ。

 ②斜めに傾いている

 春先の時期は枝先の花芽が水分を含んで大きくなり、重心のバランスが崩れやすい。もともと斜面にある桜の場合も気をつけたい。

 ③枝や幹にキノコが生えている

 「コフキタケ」などのキノコが樹木に見られたら、幹の中心部まで侵されている可能性がある。強風や降雨などの悪条件が重なると、突然倒れるなどの事故にもつながりやすくなる。【稲垣衆史】

毎日新聞

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