サガン鳥栖で心機一転 小菊新監督、J1復帰へ「ピンチはチャンス」
50歳を迎える節目の年は大きな転機となった。人生の半分以上を過ごしたサッカーJ1セレッソ大阪を離れ、J2サガン鳥栖の指揮官に就任した小菊昭雄新監督(49)。託されたのは1年でのJ1復帰だ。
1月10日、雪の影響で4時間遅れで始まった初練習は、凍える寒さの中、選手たちの動きを凝視し、練習をもり立てた。「一言で言えばギラギラ感がすごかった」。選手たちの動きに満足していた。
小菊監督は1998年、時給制のアルバイトとしてセ大阪の育成組織のコーチになった。その後、正社員となり、トップチームでのコーチや強化部でスカウトなどを歴任。自ら発掘した元日本代表の香川真司選手(セ大阪)ら、セ大阪から海外へと飛び立った選手たちとも密に連絡を取り合い、多くの選手に慕われた。2021年8月にコーチから監督に昇格。プロ選手未経験の監督として大きな注目を集めた。
セ大阪ではYBCルヴァン・カップで2度、準優勝に導いたが、昨季限りで契約満了となった。「監督業の楽しさ、厳しさ、孤独、いろいろなものを感じた。監督として人間としても成長したい。一度、まっさらな状態で人間関係も構築しながら選手たちと新たなチームを作り上げていきたい思いが強かった」。27年間過ごしたクラブに別れを告げた。
鳥栖は債務超過解消のため、昇格だけを見据えた潤沢な予算は望めない。小柳智之社長は「できる限りの予算、補強費は渡した上で、会社としても黒字を出し安定した経営をやりながらJ1昇格を目指していきたい」と語る。限られた戦力を存分に出し切るため、若手選手の育成手腕などにたけた小菊監督にオファー。J2での指揮となるが、小菊監督は「カテゴリーは関係なかった。自分がやりがいを持って、成長できる環境を選びたかった」と快諾した。
セ大阪時代に3度味わったJ2降格の経験を引き合いに出し「ピンチはチャンスという言葉があり、その言葉を大切にしながら生活をしている。サガン鳥栖は今がその時だと思っている。全員で笑顔でJ1に復帰したい」。クラブにとっても小菊監督にとっても大きな挑戦の1年が始まる。【丹下友紀子】
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