天理・藤原監督は2年目の「新人」 大学野球名将の新境地 センバツ
天理の藤原忠理監督(59)。大学野球ファンであれば、この名前に聞き覚えがあるかもしれない。30年近く大学野球を指導し、天理大を阪神大学リーグ優勝11回に導いた名将だ。今も同じ「天理の藤原監督」だが、肩書は変わった。今は高校野球の「新人」監督だ。昨年1月に母校の天理高に戻り、チームを2年半ぶりの甲子園に導いた。大学野球の名将が還暦を前に初めて高校野球指導に挑んで打ち立てた新しい「天理野球」とは。
「なんでそこで動くんや!」。周りを山に囲まれた奈良県天理市の練習場には、山びこになるほど大きい声を飛ばしながら次々とノックを放つ姿があった。練習中は一度も座らずにグラウンドに立ち続け、選手やコーチよりひときわ大きな声を出し続ける。「老体にはきつい」と笑いつつ「こっちが必死にならないと、選手たちも必死にならない」と40歳以上も若い選手たちと共にノックなどで汗を流す。
高校時代は「ぼちぼち行こか」がモットーの故・橋本武徳監督の薫陶を受け、1983年夏の甲子園に捕手として出場した。卒業後は奈良産業大(現奈良学園大)や社会人野球・ニコニコドー(熊本、休部)でプレー。全日本大学選手権や都市対抗野球にも出場したが、「野球人生の原点は甲子園」と断言する。がむしゃらに白球を追いかける高校野球の魅力が忘れられなかった。
だが、いざ高校のグラウンドに立つと、戸惑った。高校生は大学生より未熟。プレーの意図を尋ねても「はい!」の一言が返ってくるだけで、会話が続かない。選手と対等に議論してチームを作った大学野球との落差に悩み、「ならば自分から」と、積極的に問いを投げかけるようになった。
何よりこだわるのは「しつこさ」。同じプレーを何度も繰り返させ、何度もその意図を問う。言語にするのがまだ苦手な高校生とじっくり会話する狙いだ。意図がなく、偶然成功しただけならばやり直し。一つ一つのプレーの意味を選手が理解し納得できるまで、何度でも同じ事を繰り返す。
だが、大声で褒めることは忘れない。ミスしても、狙いを持ったプレーができていれば「今のはちゃんと捕れてるはず!」。監督の意図と違う動き方を発案した選手がいても「それやったらええ。やってみろ!」と背中を押す。単なる成功や失敗ではなく、プレーの本質を見て指導している。
頭脳も鍛える練習でチームは着実に成長。選手間での具体的な議論も増え、自ら考えたプレーを試すようにもなった。滑らかな守備力を得て、伝統の強打から「守り勝つ野球」へ転換。センバツ出場を決めた。
今は選手が自分の言葉を全て理解できなくてもいい。大事なのは、選手たちが今後歩む長い人生だ。「高校生は発展途上。大人になって『あの時の言葉の意味がやっと分かった』と思ってくれればそれでいい」
自身の選手としての甲子園は1回戦敗退。「あっという間に終わってしまった」と言葉少なだ。それから42年。「ぼちぼち行こか」のおおらかな伝統を守りつつ、日々の練習では厳しく鍛え抜く――。新しい「天理野球」で、自身では成し遂げられなかった初戦突破を目指して選手と戦う。【田辺泰裕】
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