TikTok、再開へ「トランプ氏に期待」 米国でサービス停止

2025/01/19 17:45 

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 中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」が、米東部時間の18日午後10時半過ぎ、米国内で利用できなくなった。アプリを開いても画面に「ティックトックは現在利用できない」と表示され、一切のサービスを利用できない状態となった。親会社の中国企業から分離しなければ米国事業を事実上禁止する法律が19日に発効するのを目前に、ティックトックがサービスを停止した。

 ティックトックは利用停止を示す画面で「ティックトックを禁止する法律が米国で施行された。残念なことに、当面ティックトックは利用できない」と説明。そのうえで「幸運なことに、トランプ次期米大統領は就任時に再開に向け我々と協力してくれると言っている。乞うご期待!」と結んでいる。

 法律は、米国内でのアプリのダウンロードやアップデートを禁じる内容だった。既にダウンロードしている場合の利用まで禁止するものではなかったが、ティックトックは、バイデン政権が対応しなければサービスそのものを停止すると予告していた。法施行を目前にサービス停止に踏み切ったとみられる。

 米メディアによると、アップルとグーグルも米東部時間18日夜、それぞれ運営するアプリストアでティックトックアプリをダウンロードできないようにした。

 ただ、ティックトックの利用継続を訴えるトランプ氏は18日、米メディアのインタビューに対し「90日間の延期の可能性が最も高い」と明言した。法律は、事業売却手続きのためティックトック側に90日間の猶予期間を与える権限を大統領に付与している。トランプ氏が20日の大統領就任直後に延期を決めれば、ティックトックが利用再開できるようになる可能性がある。

 その場合、利用停止は結果的に1日強の短期間に収まる。そのうえでトランプ氏が「バイデン大統領の下で停止された利用を、即座に復活させた」とアピールする展開も予想される。

 米国でのティックトック利用者は約1億7000万人に及ぶ。利用禁止には、商品宣伝などに利用している個人事業主のほか、自己表現のツールとして活用している若者などから批判の声が根強い。

 法律は、ティックトックを運営する中国IT大手「字節跳動(バイトダンス)」に対し、ティックトックの米国事業を米国の敵対国以外の企業に売却するよう求めるとともに、19日までに売却しなければ米国内での事業を事実上禁止するとしている。2024年4月、中国政府により米国民の個人情報が収集されるなど国家安全保障上のリスクがあるとの理由から、米連邦議会の超党派の合意を得て成立した。

 これに対し、ティックトック側は「表現の自由を侵している」と差し止めを求めていたが、連邦最高裁は17日に法律を支持する判断を示していた。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

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